現代の西洋魔術には大きく2つの系統があります。ひとつは単に魔術(magic)といえば普通そちらを指すもので、もうひとつの方と区別するために「儀式魔術(ceremonial magic)」という言い方をしています。20世紀初頭に大きな歴史を作った魔術結社・黄金の暁(Golden Dawn)なども、この系統に属するものです。ヘブライの秘法カバラ(Qabalah)や錬金術(alchemy)などとも関連があり、複雑な儀式の手順や次第、魔法図形の利用などがあって、理屈好きな人にはこちらの方が「魔術らしく」感じるでしょう。
もうひとつの系統が魔女術(witchcraft)と呼ばれるもので、自然信仰や民間信仰に近いペイガニズム(paganism)などとも近い関係にあり、儀式魔術とは異なるアプローチで精神の高みに到達するものです。感覚派の人にはこちらの方が親しみやすく感じるでしょう。なお習慣的に witch を「魔女」と訳していますが実際の witch (witchcraftの参加者)には男性も女性もいます。またpaganismは辞書を引くと異教と訳されたりしていますが、それはキリスト教の厳格的な宗派から見たら異教(heathenism)になるというだけであって、ペイガニズムというのは、ある特定の信仰形態を指すものです。
東洋の神秘学でも陰陽(いんよう,yin-yang)を重視しますが、西洋でもやはり陰陽は重要な問題です。いわゆる西洋の四大要素(火水風地)の内、火(fire)と風(air)は男性要素であり、水(water)と地(earth)は女性要素です。また魔術の系統そのものにしても、儀式魔術は男性的な傾向、魔女術は女性的な傾向があるのは否めません。
占いフォーラムの会議室タイトルを見ていて「おか魔」というのがあるのを見て「何じゃこりゃ?」と思った方も多いかも知れません。これは1998年頃の当フォーラムでの凄まじく激しい議論の場から生まれた異端児であり、儀式魔術と魔女術の間を行く、という極めて画期的?な魔術です。
男性的な儀式魔術と、女性的な魔女術の中間なら、必然的におカマ的な「おか魔」になってしまうだろうという訳です。その実態については、今後の実践者たちの軌跡を眺めていくしかありません。