タロットの歴史(4)タロットとトランプについて
そもそもひとつのもの
タロットとトランプについては、冷静な言い方をすれば結局ひとつのもののバリエーションにすぎない、ということができます。

現代の日本で見られるタロットとトランプを見比べると、かなり違ったように見えるかも知れませんが、歴史を追ってみると、そうでもありません。

コートカードが色々
現代のタロットのコートカードはだいたい次のうちのどちらかです。 ところが、ビスコンチ・スフォルザには、女従者・男従者・女騎士・男騎士のコートカードが見られます(つまりコートカードが6枚ある)。これがのちに、
女従者+男従者→従者
女騎士+男騎士→騎士
女従者+女騎士→王女
男従者+男騎士→王子
というまとまり方をしたものと思われます。但し、別の考え方もあって、元々はやはりコートカードは4枚であったのが、ビスコンチスフォルザ版では贅沢に6枚に増やしたという可能性もあります。

トランプの発生
トランプがどのようにして出来ていったかについては、濱口博章・山口格太郎「日本のかるた」カラーブックスに詳しいです。

概略だけ言えば、要するにイタリアのタロットをルーツとして各国でいろいろな発達の仕方をしたということなのです。

スートに関しては、各国で次のようなものに変化しています。
イタリア聖杯棍棒貨幣
ドイツ ハートどんぐり木の葉
フランスハートクラブダイヤスペード

結果的にはトランプの系列ではフランス式が主流になった訳です。ただしイタリア式のスートを使うトランプもイタリア・スペインなど南欧地区ではまだ残っています。

またコートカードの構成についても色々な変形が起きました。コートカードを3枚に簡略化したのはフランスのようですが、その後、国ごとに微妙なバリエーションが発生します。
フランス騎士を外して、男従者・王妃・王とする。
スペイン王妃を外して、男従者・男騎士・王とする。
ポルトガル王妃を外して、女従者・男騎士・王とする。

そして、このポルトガル系列のトランプが日本に輸入されて天正カルタとなった訳です。ポルトガルはフランス・スートではなく、元のイタリア系ラテンスートを使用していますので、当時の天正カルタの実際の札を見てみると、ほとんどマルセイユ版タロットのような雰囲気です。

用途が違う?
タロットとトランプについて、タロットは占い用でトランプはゲーム用だという人もいます。

そう思うのは勝手ですが、歴史的には必ずしもそうではないようです。

タロットがはやりだす1980年頃以前は日本には多くのトランプ占い師がいましたし、ちまたでもトランプ占いをやる人は多数いました。それがそのころを境にみんなタロット占い師に転身してしまったようです。

実際問題として、魔術師たちがタロットを取り扱い始める19世紀中旬頃以前には、タロットが占い用として使われていたという証拠を見つけることができなかった、という研究報告も存在するようです。

しかしそれはソラブスカ版やマルセイユ版の絵柄に描き込まれたオカルティックな象徴を見れば、遊びだけに使っていたというのは考えにくいことです。

恐らくは実際にはタロット及びトランプは初期の頃から20世紀初頭頃に至るまで、多くはゲーム主として博打に使用されており、一部それを使って占いをする者もいた、というのが現実であろうと思います。

そして基本的にはタロットもトランプも14世紀に登場したカードゲームの大きなふたつの流れなのだということになるのでしょう。つまり両者は親子というよりは姉妹関係にあると考えた方が妥当だと思われます。



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