トランプはタロットのバリエーションのひとつです。
タロットはイタリアで発達したものですが、各国に伝わる間にスートの変更やコートカードの構成変更が行われました。
元々のイタリアのスート(ラテン・スート)は棒・聖杯・剣・金貨なのですが、これがフランスではデザイン化されて、クラブ・ハート・スペード・ダイヤになります。そしてコートカードについても、元々のイタリアでは女従者・男従者・女騎士・男騎士・女王・男王の中からそのセットによって4つが使用されていたのがフランスでは3つに簡略化するものが出てきます。そのとき、フランスでは男従者・女王・男王という組み合わせが主流になり、これが現代日本で見るトランプの源流になっています。
一方ポルトガルでは、元のラテン・スートを使ったまま、コートカードを女従者・男騎士・男王という組み合わせの3つに簡略化するものが現れています。これが天正年間に日本にもたらされて「天正かるた」となりました。日本ではこのコートカードをソータ・ウマ・キリと呼んでいます。またAのカードのことをピンと呼んだので、ここから『ピンからキリまで』という言葉が生まれました。
うんすんかるた
天正カルタは江戸時代初期からかなりの流行を見せますが、主として博打に使われましたので、お上から風紀上好ましくないとして何度も禁止令などが出ています。
その時、天正カルタでなければいいのだろうという訳で、これを改造した「うんすんかるた」が作られました。天正カルタは48枚のセットですが、うんすんかるたは、これにスートを1個(グル)増やした上でコートカードも2枚(うん・すん)増やし、更にAを1とロハイという2枚のカードに分離して、計75枚の構成にしました。『うんともすんとも言わない』という言葉はここから来ています。ただし、実際にはうんすんかるたのカードを使用して、天正カルタと同様の遊びをしていた例が多いそうです。
百人一首
百人一首は元々は鎌倉時代初期の藤原定家が小倉山荘の襖に百枚の色紙を貼り付けたところから始まります。そこには古今の歌人の和歌を一人一首ずつ選んでおり、その後、このセットを同様に色紙に書いて愛でる者が増えました。そして江戸時代になると、天正カルタの影響でこれがカルタとして作られるようになり、やがてそれを使った貝合わせ風の遊びなども出てきたのです。
いろはかるた
いろはかるたは、いろはたとえと呼ばれるものから発達しています。江戸時代に、いろは48文字に合わせていろいろなことわざを選ぶのが流行しました。元々は上方で発達したのですが、これが江戸に伝わりますと、上方版で同じような意味のことわざが混じっていたのを除くなど洗練化が進み、よくまとまったセットが作られます。そして、これが江戸時代末期になると、かるたとしても作られるようになりました。特にこれが普及したのは明治時代の日露戦争以降です。
花札
花札の源流は平安時代の花合わせです。これが百人一首などと同様、他のかるたの影響で江戸時代にカードに作られました。花札が48枚であるのは天正カルタに合わせたもので、花札の12月が「桐」であるのは、天正カルタの一番上の札がキリ(王)であるためです。