
カード各論(20)審判, Judg(e)ment, Jugement
タロットの流れとしては、悪魔に支配されて塔で破壊されたのちに、星・ 月・太陽と発展してきたものが完成し、ここから新時代が幕開けすること を表している。
キリスト教に深い関係のあるカードのように思うかも知れないが、この思 想は別にキリスト教だけと結びつくものではない。古代より世界的に存在 する思想で、キリスト教も先行するミトラ教からこれを取り入れた。
ミトラは日本や朝鮮ではミロク(弥勒菩薩)と呼ばれ、仏教の信仰に組み 込まれて、釈迦入滅後56億7千万年後にこの世に現れて衆生を救済すると いわれている。過去何人も自らを弥勒菩薩であると名乗った宗教家はいた。 またミロクを待ち望む民衆の力はしばしば暴動となり、時の政府を脅かし たりもした。
アステカのケツァルコアトルが王を倒すためにやってくるという思想も、 同系列の思想であろう。アステカのケツァルコアトルは神々の中では唯一 生け贄を拒否したが、コルテスも生け贄の儀式を禁止した。人々はまさに この人こそケツァルコアトルと信じて、その前にひれふしたに違いない。
ミトラはゾロアスター教でも信仰されているが、ゾロアスター教では最後 の審判を行うのはミトラではなくアフラマズダである。アフラマズダは現 在まだ修行中の神であり、その神が数千年後に修行を完了し、全知全能に なった時に、この世は生まれ変わるとされるのである。
なお、ミトラについて詳しいことを知りたい人は東條真人「ミトラ神学」 (国書刊行会)あたりがよいであろう。また同氏の「タロット大辞典」で はタロットの中に潜むミトラ思想について詳しい探求がなされている。