賀茂探求(39)京都/比叡山・日吉大社

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written by Lumi on 00/05/21 21:46.

さて、前回出てきた、松尾大社・木島神社・下鴨神社・比叡山の夏至日出− 冬至日没ラインですが、この比叡山は古事記で

大山咋神、亦の名は山末之大主神。この神は近つ淡海の国の日枝山に坐し また葛野の松尾に坐して、鳴鏑を用つ神なり。

と書かれています。つまり、元々比叡山と松尾山は大山咋神の本拠地なので す。日枝山とは、まさに夏至の朝日が枝す山という意味であり、古事記が書 かれた時点で既に、鴨・秦一族が、松尾と日枝を同時に重視していたことが 分かります。

平安時代以降は、この比叡山山頂に天台宗の延暦寺が展開したため、神道側 の拠点は麓の大津市・日吉大社に移りました。しかしそのご神体が比叡山そ のものであることは揺るぎません。また比叡山の主峰・四明岳の名前は道教 の東明君・南明君・西明君・北明君からきたもので、鴨・秦一族が陰陽道に もとづきこのあたりの霊的設計をしたことが伺えます。

さて、この日吉大社の現在の御祭神ですが、かなりやっかいなことになって います。

まず日吉大社自体が東本宮(小比叡)と西本宮(大比叡)に別れており、東 本宮に大山咋神、西本宮には大物主神が祭られています。この神社の発祥の 地はこの神社のすぐそばの八王子山であり、禰宜口伝抄によれば崇神天皇7年 に八王子山に御鎮座していた大山咋神と玉依姫の和魂(にぎみたま)を麓の 神殿に遷したのが、東本宮のはじまりであるとされています。

そこで、この元々八王子山にあった日吉大神の荒魂を祀るのが八王子社であ るとされます。日吉大社にはこのほか、聖眞子と呼ばれる宇佐宮(八幡様)、 客人(まれびと)と呼ばれる白山姫神社もあります。結局、日吉大社には下 記の5つの主な神社があることになります。

大比叡 西本宮   大物主神   小比叡 東本宮   大山咋神・玉依姫 聖眞子 宇佐宮   田心姫神 客人  白山姫神社 菊理姫 八王子 八王子社  大山咋神荒魂・鴨玉依姫命荒魂

実際には八王子社は牛尾神社・三宮神社に分かれており、また玉依姫は実際 には樹下神社に祀られているのでこれ結局神社は7つになって、これを日吉 七社あるいは山王七社と呼ばれます。

西本宮は天智六年に三輪山から勧請されたものです。勧請された神の方が優 位であろうとの考えから、こちら大物主神を大比叡、元の大山咋神を小比叡 と呼びました。このため長らく東本宮が西本宮の摂社扱いされていました。
しかしこれが明治時代になると元々は大山咋神の神社だったからということ で、東本宮が正とされ、西本宮が逆に摂社扱いされるに至ります。そして、 昭和3年に至って、やっと両本宮を対等とし、二座の神社と認定されました。

なお、西本宮の御祭神は本来は大物主神のはずですが、大物主神大己貴神 (大国主神)の幸魂奇魂であるとされていますので、公式には西本宮の御祭神 は大己貴神ということになっています。

また、もうひとつよく分からないのが宇佐宮で、これは宇佐宮というからに は八幡様のはずなのですが、なぜか御祭神は宗像の神である田心姫神になっ ています。もっとも、八幡様の三柱神(応神天皇・姫大神・神功皇后)の内、 姫大神は宗像神であるとする説がありますので、その関連で御祭神になった 可能性があります。この点についてはまだ未調査。

というわけで、結局現在の日吉七社の公式の御祭神は下記の通りです。

牛尾神社  大山咋神荒魂 東本宮   大山咋神   三宮神社  鴨玉依姫命荒魂 樹下神社  鴨玉依姫命 西本宮   大己貴神   宇佐宮   田心姫神 白山姫神社 菊理姫

そして日吉大社にはこれらの更に摂社が多数あり、二十一社、百八社が数え られていました。

日吉神社のお使いは猿とされています。これと寅申線が使用されていたこと に関係があるのかどうかは未調査。日吉神社は「日吉」と書いて「ひよし」
と読む場合と「ひえ」と読む場合があります。また「ひえ」神社という時は 「日枝神社」「比枝神社」などの字も見られます。

「山王」神社ともいいますが、これは比叡山延暦寺のほうからきています。
天台宗の本山である中国の天台山国清寺の護法神が「山王元弼真君」である ことからこの名前が出ました。この比叡山・日吉神社をバックとして中世に は山王神道・山王一実神道が生まれています。

なお、この日吉大社のある場所は秦氏が入る前は、和仁氏が領していたよう です。この和仁氏についても調べ出すと、きりがなさそうです。


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