チャルベルからサビアンへ

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チャルベルのシンボル

西洋占星術のマイクロゾディアックの中で最も注目度が高く、利用している人も多いのは360度を1度単位に分割するサビアン(sabian)である。 発端はイギリスの占星術師 Charubel(1826.11.09-1908)である。彼は19世紀末頃、360度の各度数に吉凶があるのではないかと考え、最初その吉凶表を作ってみた。しかしその後、各度数の「意味」にはあまり吉凶はないのではないかと考え直して、もっとニュートラルなシンボリズムに書き改めた。しかし彼はこの書き直したものにも自身ではまだまだ不満であったといい、再改訂をしようとしたが、完成前に亡くなってしまった。彼が最初にそのシンボルを発表したのは1893年らしい。

彼のシンボルは↓の本で見ることができる。
Charubel「Degrees of the Zodiac Symbolized (added: A translation by Sephariel of a similar series found in LA VOLASFERA)」L.N.Fowler & Co.

この本には、タイトルにも見るように、著名な占星術師Sepharielが付加したLa Volasferaという360度の別のシンボルも収録されている。

サビアンの誕生

占星術師Marc Edmund Jones (1888-1980) はチャルベルの研究に興味を持ち、各度数のシンボルをチャネラーに感知させてみようと考えた。彼の知人にElsie Wheeler (1887-1938) という女性チャネラーがいたので、1925年のある日、彼は360枚の白い紙(裏面の隅に小さく度数を書いている)を持ち、カリフォルニア州サンディエゴの Balboa Park に彼女を連れて行って、360枚の紙をランダムに“度数が見えないように”彼女に見せ、何が見えたかを尋ね、その内容を急いで各紙にメモした。作業はお昼休みをはさんで数時間続けられた。

(あまりにも急いでメモしたので、ジョーンズは後で自分の字が読めなかった!)

こうして得られた360度の象徴は、チャルベルのサインと比較検討した結果、大きくは矛盾していないと判断、ジョーンズはやはり各度数には固有の意味があるのだと確信した。これが今広く知られているサビアンである。正確にはこのシンボルについて研究するために作られた研究会の名前がサビアンである。この名前は古代のメソポタミアの神話に由来するものである。

ジョーンズがホィーラーを通して得られたシンボルは下記の本で見ることができる。この本には、チャネリングをした時の様子も簡単に(むしろあまりにも簡単すぎる!)書かれている。

Marc Edmund Jones「Sabian Symbols in Astrology」1956, Aurora Press

ルディアの参加

サビアンの今日での扱われ方に大きな影響を与える研究者が1930年に現れた。Dane Rudhyar (1895.03.23-1985)で、芸術家でもある彼はサビアンシンボルをかなりドラマティックに解釈し、1936年の著書「The Astrology of Personality」で発表した。なお彼は後に1973年になってこの解釈のしすぎに少しブレーキを掛けた新たなシンボルを「An Astrological Mandala」で再発表している。

ルディアの他にもこのように色々な解釈をしたサビアンを発表した人があったようで、ジョーンズはこれだけ色々なバリエーションが出てきたなら、一番最初にフィーラーが得たシンボルも世に出しておく必要があると考え、1956年に「Sabian Symbols in Astrology」(上述)を出版して、それを掲載した。

3種類あるサビアンシンボル

このようにして、現在サビアンシンボルと呼ばれるものは事実上3種類が流布している。
  1. Jones and Wheeler 1925 (1956出版)
  2. Rudhyar 1936
  3. Rudhyar 1973
たとえば、牡羊18度のシンボルで見た場合
  1. An empty hammock
  2. An empty hammock is hanging between two lovely trees
  3. An empty hammock streched between two trees
などとなっている。日本ではサビアンは、直居あきらが最初紹介し、その後、松村潔の「神秘のサビアン占星術」で一般の人にも知られるようになったが、この本では(3)のルディア1973年版が使用されている。ルディアの1973年版は1936年版に比べれば中立性が回復されているが、ジョーンズ版に比べるとやはりビジュアル性の強いもので、このシステムは占星術師だけでなくオカルティストの間でも話題になった。

恐らく360度分割というのはチャルベルが晩年そう考えたように、そしてジョーンズのシンプルなセンテンスにあらわされるように、かなり単純な象徴体系であり、もっと理論的に把握されてもよいものであろう。ルディアのシステムはむしろその解釈のひとつと考えるべきだろう。

なおサビアンシンボルのリストを見るには上述のジョーンズやルディアの本を見ればよいが、どうしても日本語で見たいという人には、下記の本が参考になる。

直居「定本サビアン占星学」1997,魔女の家BOOKS (1973ルディア版)
松村潔「神秘のサビアン占星術」1991,学研Lブックス (1973ルディア版)
岡庭加奈「占星学教室サビアン大辞典」1997,MIIBOAT BOOKS (三種類とも収録)

それ以外の360度シンボル

これ以外に下記のような人たちが360度シンボルを発表している。

Adriano Carelli in "The 360 Degrees of the Zodiac" 2004
Donna Walter Henson "Degrees of the Zodiac" 2000.
Isidore Kozminsky "Zodiacal Symbology and its Planetary Power." 20世紀初期
Esther V. Leinbach's "Degrees of the Zodiac" 1973.
Ec Mathews "Fixed Stars and Degrees of the Zodiac" 1968.
Ada Muir "The Degrees of the Zodiac Analyzed" 1967.
Jeanne Duzea
Franz Bardon "The 360 Heads of the Zone Girdling the Earth"
Ellias Lonsdale - Chandra Symbols
Cochrane Degrees


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