【アディーの調波】 調波(Harmonics)の考え方はクラフト(K.Kraft)が1930年に発表したものであ るが、これを普及させたのはアディー(Jogn M. Addey, 1920-1982)である。 アディーはホロスコープの各感受点の位置に一定の自然数を掛けた値で新し いホロスコープを作ることを提唱した。この時、掛ける数を調波数(Harmonics Number,略してHN)という。 例えば、HN=4の場合 牡羊 5度の天体は 5×4= 20で牡羊20度に来る 牡羊10度の天体は 10×4= 40で牡牛10度に来る 蟹 5度の天体は 95×4=380=20(mod360)で牡羊20度に戻ってくる ハーフサムの理論も45度単位の点を考えていたので実はあれは第8調波 を見ていたことになる。インドのバルガも調波をしているようなもので たとえばナバムサは第9調波を見ていることになる。ここに古来の理論 が統合されるのである。 調波図は各調波数により特定の意味がある。 第1調波 通常のホロスコープである。 第2調波 目的意識。Charles Harveyが研究した。 第3調波 運動、楽しみ。 第4調波 秩序、科学 第5調波 本能的欲求 第6調波 健康、平衡 第7調波 芸術、夢 第8調波 知恵、現実 第9調波 宿命、成果 これより高度の調波ももちろん可能である。アディーは108調波とか125調波 などというものまで調べている。 またアディーはその人の年齢の調波がその年のその人の運気を表していると 述べている。年齢の調波にグランドトラインが現れた人はその年に結婚する ことがあるという指摘が何人かの占星術師からなされている。 なお、調波図を読むときは、主として合のみを読めば良い。せいぜいオポ までで、スクェアやトラインなどは採らない。ただしグランド・トラインは別。 【その他の調波】 ■エバーディンの調波 近年アメリカで注目された方法。アディの方法に似ているが、アディが 360度を一周にしているのに対して、360/調波数を一周として計算 する。つまり内容的にはアディと同等だが、度数表現が異なる。 エバーティンの手法はハーフサムと密接に絡んだものであり、ハーフサム で使用する4または8の調波数しか使用しない。
アディーの調波 | エバーティンの調波 |
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■小曽根秋男の調波(ハーモK) 他のハーモニクスの手法が全て度数に掛け算をするという方法で行われる (エバーティンの場合もスケールを縮小することで実質的に掛け算している) のに対して、ハーモKは掛け算をしない!というユニークな方法である。 掛け算をすることの最大の問題点は大きな調波数のハーモを計算した時に、 どうしても元々のホロスコープに含まれる誤差まで拡大してしまうことで あるが、ハーモKの場合は掛け算をしないため、この問題を回避すること ができる。 アディの方法の場合、たとえば調波数10のハーモを計算する場合、360度を 10分割した各30度が、360度の領域にゴムのように引き延ばされてしまう。 たとえば牡羊0度から6度までの点について対応を考えると
牡羊 0度→牡羊 0度 牡羊 1度→牡羊10度 牡羊 2度→牡羊20度 牡羊 3度→牡牛 0度 牡羊 4度→牡牛10度 牡羊 5度→牡牛20度 牡羊 6度→双子 0度 のようになっている。しかしハーモKでは中の度数を引き延ばさないので 次のようになる。
牡羊 0度→牡羊 0度 牡羊 1度→牡羊 1度 牡羊 2度→牡羊 2度 牡羊 3度→牡牛 0度 牡羊 4度→牡牛 1度 牡羊 5度→牡牛 2度 牡羊 6度→双子 0度 アディの方式では調波数10の場合、牡牛6度で360度に達してまた牡羊0度に 戻してしまうが、ハーモKではここで牡羊3度にマップさせる。要するに さきほどの続きをここに持ってくるのである。
元の度数 | → | アディ | 小曽根 |
牡牛 3度 | → | 魚 0度 | 魚 0度 |
牡牛 4度 | → | 魚 10度 | 魚 1度 |
牡牛 5度 | → | 魚 20度 | 魚 2度 |
牡牛 6度 | → | 牡羊 0度 | 牡羊 3度 |
牡牛 7度 | → | 牡羊10度 | 牡羊 4度 |
牡牛 8度 | → | 牡羊20度 | 牡羊 5度 |
牡牛 9度 | → | 牡牛 0度 | 牡牛 3度 |
両者は同じ調波数であれば同じ度数は必ず同じサインにマップされる(という ことが分かれば、ハーモKは概ね理解できている)が、度数の対応だけが異なる。 考えようによってはこちらのほうがインド占星術のバルガの考え方に近いであろう。
小曽根の調波に関して詳しいことはStargazerのホームページを参照のこと。
■グレイグの調波 プラネタリー・ハーモともいう。天体の春分点からの度数で360度を割 って得られた数を全天体に掛けて、ホロスコープを作成する。 【分割調波】 これは石川源晃氏が考案したものである。 アディーの調波では掛ける数は整数であるが、分割調波では 1.0 と 2.0 の 間の実数である。 例えば太陽の分割調波という場合、1.0 + 太陽度数/360.0 を全惑星の度数 に掛ける。これは太陽の働きをより詳しく調べるためのチャートである。 太陽がもし天秤11.87度、月が蟹6.85度にあった場合、太陽分割の数は 1.0 + 191.87/360.0 = 1.532972 になるので、太陽分割の太陽は 191.87 × 1.532972 = 294.13, 太陽分割の月は 96.85 × 1.532972 = 148.47 となり、各々山羊24.13度、獅子28.47 に来る。 同様に月分割、水星分割、金星分割、etc. が考えられる。地震予知には ジュノーの分割調波が有効だといわれる。 なお、この分割調波で分割に利用した天体のことを震動天体(vibrating planet)という。太陽分割の太陽、水星分割の水星などが震動天体である。