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第3章 ハウスの計算

【ハウスとカスプ】

サイン(牡羊座,牡牛座,双子座,etc)が天空を12分割したものであるのに対して
ハウス(House,室)とは地上における12分割である。(但し7分割とか8分割とかの
ハウスシステムもあるらしい)

各ハウスには最も強い意味を持つ、いわばハウスの代表点が存在する。これを
カスプ(cusp)という。多くのハウスシステムではカスプはハウスの始点であるが
キャンパナスのように、そうでないハウスシステムも存在する。

始点がカスプであるハウスシステムにおいては、感受点が室の終り付近(=次の
カスプに近い所)にある場合、その感受点は次のハウスに所属しているとして
読む流儀もある。(結果的にはハウス境界が少し前にずれ込む形になる)

ハウスの分割の方法・カスプの計算方法には、細かなバリエーションを含めると
100通りくらいあると言われる。そんな中で日本で占星学の入門書などで最も
よく紹介されているのはプラシーダス法である。またニフティサーブのFFORTUNE
付近を震源に人気があるのはキャンパナス法である。もっとも日本のプロの占い師
の大半はイコールハウスを使っているとも言う。

なお、ハウス分割について詳しく述べている文献として

   Emma Belle Donath "Houses : Which and when"

という本がある。この本によれば、ハウスシステムというのは、どういう問題を
占うかにより、「使い分ける」べきである、ということである。(1つのハウス
システムで見ていても解読に苦労しているのに。。。。。)


【イコールハウス法によるカスプの計算】Equal House 

これは黄道上で、ASCを起点に30度ずつ12等分したものです。全てのハウス
の幅が等しくなる、大変美しいハウス分割です。一般にハウスの幅が1つ1つ違うと
何やら有難く見えますが、何を根拠に1つ1つの幅が変わらなければならないのか、
というのは問題にする必要があります。

今回、私は自分でハウス分割の計算をしてみて、イコールハウスというものを、
すっかり見直しました。しかし、この方法の最大の欠点はMCが必ずしも10室に
来てくれないことです。

このハウスシステムのカスプの計算法は自明だと思います。


【ソーラー法によるハウス分割】Solar
この方法は主として出生時間が分からない人のホロスコープを作成する際に使用
します。出生時の(時間が分からない場合12時の)太陽の位置を第1室のカスプ
にして、ハウス境界=カスプとします。そのあとは30度ずつハウスを切って
行きます。


【ソーラーサイン法によるハウス分割】Solar sign
これは上記のソーラー法と似ていますが、太陽の位置するサインの境界をカスプと
するやり方です。むろんハウス境界=カスプで、ハウスの幅は30度ずつです。

例えば太陽が天秤の11度にある人は、ソーラー法では天秤11度から第1室が始まり
ますが、ソーラーサイン法では天秤の0度から始まることになります。


【レギオモンタナス法によるカスプの計算】Regiomontanus House 
レギオモンタナスはドイツの天文学者(1436.6.6-1476.7.6)です。この方法は、
地平面に垂直な面にそって、12等分を行います。これは15世紀頃に流行した
方法だそうです。

ここで使う垂直な面とは、地平線上の東の点−天頂−西の点−天底がつくる大円を
含む面です。12等分したのに、ASCが1室カスプになり、MCが10室カスプに
なってくれる、という嬉しい分割法です。

やり方としては、北と南を結ぶ線を軸にし、南−東−北が作る半円を30度ずつ
太陽の進行方向と逆向きに回転させて行きます。つまり表に出ている星空が丁度
6個の舟型に分割される訳です。実際のカスプの選び方は、その分割した点から
黄道に降ろした垂線の足ではなく、その点に立てた垂線が黄道と交わる点です。

では、計算式を導いてみます。

これは先に第2章で導入した垂直座標を使います。一般に垂経νの垂直面上の点に
立てた垂線が黄道と交わる点を見つけることを考えます。

すると(6)・(1)・(3)の変換公式を順に適用して、

cos(λ)= cos(s)cos(φ)sin(ν)cos(μ) - cos(s)sin(φ)sin(μ)
                                     - sin(s)cos(ν)cos(μ);

sin(λ)= sin(s)cos(φ)sin(ν)cos(ε)cos(μ)
       + cos(s)cos(ν)cos(ε)cos(μ)
       - sin(s)sin(φ)cos(ε)sin(μ)
       + sin(φ)sin(ε)sin(ν)cos(μ)
       + cos(φ)sin(ε)sin(μ);

0  =   - sin(s)cos(φ)sin(ν)sin(ε)cos(μ)
       - cos(s)cos(ν)sin(ε)cos(μ)
       + sin(φ)sin(ν)cos(ε)cos(μ)
       + sin(s)sin(φ)sin(ε)sin(μ)
       + cos(φ)cos(ε)sin(μ);

3番目の式から、tan(μ)を求めれば、μ=-90〜90なので、この値は決る。
これを上の2式に代入すれば、λが決定する。

《簡易化》
カスプの値に+180すべきかどうかの判定をするつもりがあれば、上記の式は
ASCの場合と同様に簡易化することができる。

3番目の式から求めたtan(μ)の式を上の式に代入し、tan(λ)を計算すると、
ASCの時と同様にして、

tan(λ) = (sin(s)sin(ν) + cos(s)cos(φ)cos(ν))
        / (cos(s)sin(ν)cos(ε) - sin(ε)sin(φ)cos(ν) 
                       - sin(s)cos(φ)cos(ε)cos(ν));

となる。これはν=0の時はそのままASCの簡易計算式になっている。


【キャンパナス法によるカスプの計算】Campanus
キャンパナス法によるカスプは、レギオモンタナス法のカスプと同じです。
しかし、キャンパナスの場合はハウスの境界線をカスプに取らず、ミッド
カスプで切ります。従ってハウスを代表する点であるカスプがハウスの
ど真ん中に来てくれる訳です。

計算法は、レギオモンタナスと全く同じ要領ですので省略します。

(ミッドカスプは、この場合12等分を行った大円上でカスプとカスプの
 中点になる点に立てた垂線が黄道と交わる点です。黄道上の中点では
 ありません。)

これは全くの私見ですが、キャンパナスで見る場合にハウス境界付近にある
感受点はどちらのハウスに入れて判断しても構わないのではないかと思います。


【プラシーダス法によるカスプの計算】Placidus
プラシーダスの分割の意味は、現段階では私は調査していません。分割は赤道・黄道
・地平面(?)を行き来しながら行なっているように見えますが、数式に現れる数から
見て何らかのかなり高次の曲線を使って分割しているようにも見えます。これは今後
私の研究課題にしておきます。

プラシーダスのカスプの位置は、次のように定義されます。

11室カスプ位置 α = s + arccos(-sin(α)tan(ε)tan(φ))/3.0 である点。
12室カスプ位置 α = s + arccos(-sin(α)tan(ε)tan(φ))/1.5 である点。
  2室カスプ位置 α = s + 180 - arccos(sin(α)tan(ε)tan(φ))/1.5 である点。
  3室カスプ位置 α = s + 180 - arccos(sin(α)tan(ε)tan(φ))/3.0 である点。

この計算は、各々 s+30, s+60, s+120, s+150 という初期値から始めて、近似値で
右辺を計算して次の近似値を得る、という漸化式で処理します。最終的な赤経が
決ったら、λ=arctan( tan(α)/cos(ε) ) で黄経に変換します。これは、赤道上の
(α,0)の点に立てた垂線が黄道と交わる点です。


【トポセントリック法によるカスプの計算】Topocentric
この方法も詳しい意味はまだ分析していません。計算方法のみを利用します。なお
手近にトポセントリックのハウスを出してくれるシステムが無いので、合っている
かどうかも分かりません。

これは比較的簡単な計算です。ASCの計算式で、緯度と恒星時の代りに次のものを
使うとカスプが得られます。

11室カスプ位置 緯度 arctan(   tan(φ)/3 ), 恒星時 s-60゜
12室カスプ位置 緯度 arctan( 2・tan(φ)/3 ), 恒星時 s-30゜
 2室カスプ位置 緯度 arctan( 2・tan(φ)/3 ), 恒星時 s+30゜
 3室カスプ位置 緯度 arctan(   tan(φ)/3 ), 恒星時 s+60゜


【P一般垂線形カスプの計算】
今回散々と色々なハウス分割の試みをやった中で、1つだけわりと均等な分割を
与えてくれる分割法が見つかったので、これだけ残しておきます。他の方法はボツ
です。何時間も掛けて連立方程式を解いて処理したものをボツにするのは耐え難い
ものがありますが、うまく行ってなければ何にもなりません。

さて、この方式では、ASCと天頂を通る大円がASC側で赤道面と交わる点をAA
とし、AAから反時計回りに12分割した赤道線上の点Anを求めて、各Anと黄道の
北極を通る大円が黄道と交わった点をカスプとしています。(言い替えるとAnから
黄道に降ろした垂線の足です。)

今回公開版に残したのはP4A(赤道分割の4番目の試み^^)と仮に呼んでいるもの
で、ASCとMC・ICの間を3等分したものです。ナンテ イイカゲン ナ.....

計算方法は非常に簡単で、赤経(An,0)の点の黄経を求めればよいだけです。


(1993-2-20)

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