【豆腐の種類】
最近の日本で一般に食卓にのぼる豆腐は硬い木綿ごし豆腐と柔かい絹ごし豆 腐に分類できます。そのほか、もっと硬いざる豆腐のようなものもあります。
豆腐の作り方はまず大豆を挽いたもの「呉」に水を加えてゆでた「豆乳」に、 にがりを加えて「おぼろ」にします。むろん豆乳のまま飲んでもおいしいで すし、最近はこの完全に固まる前の「おぼろ豆腐」或いは「寄せ豆腐」も人 気が出ているようです。
そして、木綿豆腐の場合はこのおぼろを木綿の布を底に張った型に入れ、上 から重しをして水分を抜いて作ります。絹ごし豆腐の場合はそういう水抜き をせずに寒天を加えて固めます。ただし量産品の中には硫酸カルシウムを加 えて固めている絹ごしもあるようです。ざる豆腐の場合は見ての通りざるで 水抜きをしてもっと硬い豆腐になります。
考えてみると水抜きをする際に大豆の旨みもどうしても抜けてしまいますし、 木綿豆腐・絹ごし豆腐はその後水につけておきますので、水分を吸収して味 が薄くなってしまいます。そうすると結果的にそういうことをしない寄せ豆 腐がおいしいという訳も分かります。
私は個人的には水に浮かべずに、密封してある充填豆腐が好きです。最近は スーパーでも無農薬大豆を使い、消泡剤無使用の充填豆腐が安価に手に入る ようになりました。
【豆腐の歴史】
豆腐の起源については幾つかの説がありますが、いづれにしても発祥の地は 中国のようで、最も有力な説は西漢時代の淮南というものです。淮南国を作 ったのは漢の始祖劉邦の孫劉安で、彼の許には多数の知識人が集まり、華や かな文化が栄えて、その時に豆腐が発明されたとされます。
現代の淮南市の豆腐は一時期政府主導の量産品オンリーになっておいしくな かったそうですが、ここ数年は手作りの業者が復活して来て、又昔ながらの 豆腐が食べられるようになったとのことです。淮南では劉安の誕生日9月15 日に豆腐祭をやるようです。
なぜ「豆腐」と書くようになったかというのも幾つか説があり、「腐」とい うのが「ぶよぶよとしたもの」という意味であったからというものとか、元 々はこれは豆が納まってできるから「納豆」と呼んでいたのに、いつのまに か豆を腐らせて作る「豆腐」と名前が混乱して逆転してしまったというもの などがあるようです。
日本に入ってきたのは奈良時代頃ではないかと言われています。最初の頃は 中国伝来のものであるということで「唐符」とも書かれていたようです。鎌 倉時代に禅文化とともに精進料理として普及し始め、おいしい豆腐は贈答品 としても使われていたようです。
庶民が普通に口にするようになったのは江戸時代頃から。それまでの豆腐は 今のざる豆腐並或いはそれ以上の硬さだったようですが、その頃から木綿ご し豆腐が普及し始めたようです。絹ごしの普及は硫酸カルシウムを使うよう になった戦後からのようです。
【豆腐料理】
●田楽 豆腐を串に刺し、みそを塗って焼いたもの。この豆腐を串に刺したさまが、 踊りの田楽に似ているということから付けられた名前とのことです。踊り の田楽が起こったのが平安中期頃、豆腐の田楽は室町時代ころからのよう です。
●麻婆(マーボ)豆腐 豆腐と挽肉にネギやしいたけなどを混ぜ、豆板醤(トウバンジャン)と一緒 に炒めたものです。戦後、四川飯店の陳建民氏(1920?-1970.5.12,陳建一 氏の父)が日本に紹介しました。
●湯豆腐
豆腐をゆでたものです。お好みによって各種の具を入れることもあります。
中国には似たような「水晶豆腐」という料理もあるそうです。
●冷や奴 冷やした豆腐をそのまま食べます。好みによって削り節、醤油、生姜など を加えます。豆腐好きにとっては一番おいしい食べ方です。
【変わり豆腐】
●黒豆豆腐・青豆豆腐 大豆の代わりに黒豆や青豆を使ったものです。色は当然それぞれの豆の色 が出ます。味の濃い豆腐になり、おつまみにも良いそうです。
●胡麻豆腐
胡麻をすって葛粉と混ぜて水を加えて煮立て、型に入れて固めたものです。
お彼岸の料理として欠かせませんね。
●豆腐よう 沖縄の料理です。豆腐を泡盛の中に入れて数ヶ月間発酵させたもので、6ヶ 月ものなどは、とろけるような微妙な味だそうです。