義経千本桜初演(1747)
延享4年(1747)11月16日、人形浄瑠璃「義経千本桜」が竹本座で初演され、た
いへんな人気を得ました。
現代では、猿之助による狐忠信の早替わりと宙づりが印象深く、歌舞伎の演
目として認識している人が多いのですが、最初は浄瑠璃の演目でした。脚本
は竹田出雲・三好松洛・並木千柳の合作。
歌舞伎にはこのように浄瑠璃から採った題目が数多くあります。義経千本桜
は浄瑠璃・歌舞伎の三大名作に数えられています。
タイトルは義経が頼朝に厭われてから一時期吉野に引きこもっていたという
設定に由来しますが、この物語で義経の果たす役割は、むしろ物語の全体を
つなぐ糸という感じです。
初段 序幕/北嵯峨庵室/堀川御所
二段目 鳥居前/渡海屋/大物浦(碇友盛)
三段目 椎の木/鮨屋
四段目 道行初音旅/蔵王堂/四の切(河連館)
五段目 吉野山中
鳥居前(伏見稲荷の段)
義経は朝廷から賜った名鼓「初音」を静御前に預けて、伏見の鳥居の前で
別れる。その静を義経を狙う逸見藤太が見つけ、拘束して頼朝の所へ連れ
て行こうとするが、そこに佐藤忠信(実は狐忠信)が現れて、静の危機を
救う。戻ってきた義経は忠信を誉め、愛用の鎧を与えて静を託す。
河連館
河連法眼の館で義経が休んでいる所へ佐藤忠信(本物)が訪ねてくる。しか
し忠信が静を連れてないので、義経は静をどこにやったのだ?と問い詰め
る。しかし忠信には何のことやら、さっぱり分からなかった。
そこへ静が忠信(狐)を伴ってやってくる。色々あって結局静を守って旅を
していたのが狐であることが分かる。狐は実は「初音」は自分の親の皮で
作られており、それでそばに居たくてやってきたのだと語る。そこで義経
は狐を憐れみ初音を狐に与えると、狐は初音を抱え空を飛んで帰って行く。
もうずいぶん昔にテレビの劇場中継で猿之助の狐忠信を見ましたが、すごか
ったです。まさに神出鬼没。静御前が鼓を打てば、どこかからサッと現れる。
どこから現れるか予想がつかない感じ、そしてその動きの素早さは、まるで
実体のない映像のようにさえ見えて、強く印象に残りました。
(別に見ようと思って付けたわけではないのだが、たまたまスイッチを入れ
たらやっていて、思わず見とれてしまった)
史実では、忠信は静を守って落ちのびようとしたものの、途中で追手につか
まり斬られてしまい、静は鎌倉へ連れて行かれ、鶴岡八幡宮で「静の舞」を
踊ります(舞ったのは「君が代」と伝えられています)。
またこの物語では平知盛・維盛・教経も生きていたことになっており、平家
再興を画策しています。
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