くるみ割り人形

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チャイコフスキーの三大バレエ最後の作品です。

1877.03 白鳥の湖ライジンガー版 ボリショイ劇場(モスクワ) 1890.01 眠れる森の美女プティパ版 マリインスキー劇場 1892.12 くるみ割り人形イワノフ版 マリインスキー劇場 1893.11 チャイコフスキー死去 1895.01 白鳥の湖プティパ版 マリインスキー劇場 1910. プティバ死去 1934. くるみ割り人形ワイノーネン版 キーロフ劇場

チャイコフスキーは前作「眠りの森の美女」のまずまずの成功に気をよくし て、2年後再びマリウス・プティパからの依頼で新作バレエを作曲します。
このバレエはドイツの作家ホフマンの「くるみ割り人形とねずみの王様」と いう童話をデュマ(息子の方)がフランス語に翻案したものを元にプティバが 台本を書き、その台本を見ながらチャイコフスキーが曲を付けたものです。

ところが実際に振り付けをする段階でプテイパは病気でダウン。彼の弟子の イワノフが振付けを行いました。この振付けにはプテイパも十分満足してい なかったといわれています。公演も一応成功しますが、音楽の評価が高かっ たのに対して、振付けに関しては退屈、との指摘が多かったようです。

当時の演出では前半はマイムによって物語がどんどん進行し、後半は物語と は関係ない踊りが延々と続いて、主役の二人(こいぺいとうの精と王子)は 最後にグラン・パ・ド・ドゥを踊るだけ、というものでした。

この作品が生まれ変わったのは1934年マリインスキー劇場改めキーロフ劇場 のワシーリイ・ワイノーネン振付けによる版からです。

(ややこしいのですが、この町は元々ピョートル大帝にちなみペテルブルグ と呼ばれていましたが、革命後「革命の父」レーニンの名を取ってレニン グラードと改名されました。それがソ連崩壊後ペテルブルグに戻っていま す。この劇場の名前は最初はボリショイ劇場といいモスクワの方と同名で したが、その後当時の皇后の名前を取ってマリインスキー劇場に改名され、 革命後はキーロフ劇場になります。そして更にソ連崩壊後はまたマリイン スキー劇場に戻ってしまいました)

ワイノーネンは前半の主人公の少女クララを大人のバレリーナに踊らせ、く るみ割り人形は王子に変身することにして、この二人に最後のグラン・パ・ ド・ドゥを踊らせるということで、前半と後半に一貫性を持たせました。そ の後の「くるみ割り人形」の振付けは一般にこのワイノーネン版がベースに なっています。

第一幕 第一場(第1〜7景) クリスマスの夜、市会議長の家で賑やかなパーテ ィーが開かれている。その家の娘クララや、訪問客が連れてきた子供たち が行進曲のリズムにあわせてはしゃぐ。やがてそこにクララの名付け親の ドロッセルマイヤーがやってきて、クララには可愛い人形を、弟のフリッ ツには兵隊人形をプレゼントする。その内パーティーが終わるが子供たち は寝付かない。そこでドロッセルマイヤーが、醜いくるみ割り人形を子供 たちにあげるが、ひとつしかないのでクララとフリッツで取り合いになり やがて人形は壊れてしまう。クララは人形が壊れたのが可哀想で泣きなが らベッドに入る。

夜中、壊れたくるみ割り人形のことが気になったクララはそっとベッドを 抜けだし応接間に行ってみる。すると時計が12時を打つと同時にどこから ともなくねずみの大軍がやってきて、兵隊人形たちと戦いになる。その兵 隊人形たちの先頭に立っているのは、あの壊れたくるみ割り人形であった。

その内、ねずみの王様とくるみ割り人形の一騎打ちになるが、くるみ割り 人形があわやという時、クララはねずみの王様にスリッパを投げつけて、 やっつけてしまう。ねずみの大軍は退散するが、するとくるみ割り人形が 一瞬のうちに美しい王子様に変身して、助けてくれたことを感謝し、自分 の国に招待したいとクララを誘う。

第一幕 第二場(8〜9景) 森の中をクララと王子様が歩いている。雪の精たちが 現れて二人を歓迎し雪のワルツを踊る。(ここからやっとバレエらしくなる)

第二幕 10〜11景 クララと王子はおとぎの国に到着する。トランペットの合 図でクララを歓迎する宴会の準備がはじまる。この後は宴会の様子になる。

12景 各国の踊りが披露される。(この部分は踊り手の衣装も楽しい) チョコレート : スぺインの踊り コーヒー : アラビアの踊り お茶 : 中国の踊り トレパック : ロシアの踊り(農民) あし笛の踊り(ひつじ飼い) ジゴーニュ婆さんとピエロ

13景 あまりにも有名な「花のワルツ」。
クリスマスケーキの砂糖で作ったバラの花を持つ娘たちの踊り。

14景 元々は金平糖の精と王子のグラン・パ・ド・ドゥだが、これを 現在はクララと王子が踊る。

15景 終幕のワルツと大団円。
宴は終わり、クララはみんなに送られて、おとぎの国をあとに する。翌朝、クララは応接間で乳母に起こされる。

原作の童話はもっと複雑で、現実と夢とが訳が分からないくらいに交錯し、 怪談風の所もあったりして、けっこう長い物語なのですが、その中でも最も ファンタジックな部分だけを抜き出して、このバレエは作られています。
(基本的にはクララが子供時代に決別して大人になった日、という感じのス トーリー。そういう意味では白鳥の湖と似たテーマでもある)

この「くるみ割り人形」は現在ではクリスマスの時期にはなくなてはならな い作品になっており、特に第一幕の行進曲や第二幕の花のワルツは、白鳥の 湖のアダージョやピアノ協奏曲第一番などと並んで、チャイコフスキーの作 品の中でも、最も広く知られた曲のひとつとなっています。クリスマスの時 期には、町でよくこれらの曲を耳にしますし、ポピュラーへの編曲も多いよ うです。


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