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ジゼル
ちょうど158年前1841年の今日6月28日、パリ・オペラ座で、「白鳥の湖」と 並ぶ古典バレエの2大傑作のひとつ「ジゼル」が初演されました。 当時の主演はカルロッタ・グリジ、振付けは彼女に関する部分をグリジの夫 のジュール・ペローが、その他の部分はオペラ座の振付師ジャン・コラリが 行いました。 このバレエの原案を考えたのは詩人のテオフィール・ゴーティエです。彼は ハイネの詩「ドイツより」を読んで、その中に出てくる、踊る死霊ウィリに 興味を持ち、そこから踊りにとりつかれた女が踊りすぎて死んでしまう、と いう物語を思いつきます。彼はこの物語をバレエにしようと思いますが未経 験のことであったため、バレエ台本作者のヴェルノア・ド・サンジョルジュ に相談、彼が「ジゼル」の基本的なストーリーを組み立てました。 ゴーティエはこの台本をオペラ座に持ち込み、上演が決定、グリジが主演と 決まります。そして更にゴーティエはペローに振付けを依頼、ペローが友人 の作曲家アドルフ・アダンに相談して、彼がこのバレエの曲を作曲すること になりました。ペローはバレエ全体の振付けをするつもりだったのですが、 なぜか最終的にはグリジ以外の部分の振付けはペローではなく、コラリに委 ねられることになってしまいました。 そしてともかくもオペラ座での上演は成功で、グリジはその後オペラ座で9 年間にわたり「ジゼル」を踊り続けました。その後もオペラ座では主役が交 替して断続的に上演が続けられ1868年まで続いています。が、後に別の稿で 触れると思いますが、その頃以降オペラ座は急速に衰退し、ペロー&コラリ 版のジゼルの振付けもここオペラ座では忘却されてしまいます。 ジゼルの命脈が保たれたのはその頃から急速に発展してきたペテルブルグの ボリショイ劇場(現マリインスキー劇場)のおかげです。ペテルブルグでは フランスでの評判に影響されて、翌年にはこの演目を上演、好評を博します。 そして1850年にはグリジとペローがペテルブルグを訪れ、初めて全曲を自分 の方式で振付けをした、完全ペロー版が公開されました。 更にこの後マリインスキー劇場の黄金期を作ったマリウス・プティパもこの 演目を気に入り、振付けを自分流に改め一部構成も変更して、1884年プティ パ版「ジゼル」を制作します。そして後に1924年、このプティパ版ジゼルが パリオペラ座に里帰り。以降、オペラ座で上演されるジゼルはこの版をベー スにしたものとなっています。 第一幕 村の娘ジゼルはロイスと愛し合っている。しかしロイスは実はアルブ レヒト公爵の仮の姿であった。ジゼルは毎日のようにロイスと踊って遊ん でいたが、ジゼルは本当は体が弱いので、彼女の母はそんなジゼルを心配 していた。そんなジゼルに密かに思いを寄せていたのはヒラリオンである。 彼はある時ロイスが立派な身なりの騎士(実はアルブレヒトの従者)と話 をしているのを目撃、ロイスの身分について疑惑を持つ。彼はなにか証拠 の品を見つけてやろうと思い、ロイスの家に忍び込む。 その時狩りをしていた大公と娘のバチルドが登場。ジゼルの家の前でミル クと果物をごちそうになり、彼女に好感を持つ。ジゼルが婚約していると 聞くとバチルドはおめでとうと言い、首飾りをプレゼントする。二人は ジゼルの家の中で休ませてもらうことにする。 ロイスがまたジゼルに会いに来た。そこへヒラリオンが登場。ロイスの家 で見つけた立派なマントと剣を突き出し、お前は一体何者だと問う。ジゼ ルが驚いている所に、ちょうど休息を終えた大公たちが出てきて、ロイス の身分は結局バレてしまう。ショックを受けたジゼルはそのまま死んでし まう。 第二幕 墓場の中にジゼルの新しい墓標が立っている。ウィリの女王ミルタ と何人かのウィリが踊り出す。やがて、死装束のジゼルが立ち上がるが ミルタが彼女に触れると、彼女の衣装もウィリの衣装に変わった。彼女 たちの踊りが続く。 そこへヒラリオンが現れる。彼はウィリに囲まれてしまい、その輪から 脱出できず、そのまま沼に突き落とされて死んでしまう。さらにアルブ レヒトも通りかかり、同じようにウィリに囲まれるが、彼への愛の記憶 が残っていたジゼルにより助けられる。 夜明けが来てウィリたちは墓へ戻ろうとする。そこに大公とバチルドも 登場。ジゼルは墓に戻る直前にアルブレヒトに向かってバチルドを指さ し、自分の代わりに彼女を愛して欲しいというかのような仕草を見せて 消え去る。 「白鳥の湖」の衣装は基本的にスカートの短いクラシック・チュチュです が、「ジゼル」はすその長いロマンティック・チュチュです。元々このロ マンティック・チュチュというのは、このジゼルのウィリのような、この 世のものではないもの(つまり幽霊)を表現するために生まれたものなの だそうです。