二度と立ち上がらない

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2000年問題の対策も大詰めでしょうか。私も担当している客先のシステムを 来週中にも最終更新するつもりです。

2000年を前にいったんシステムを止めてから再起動するところも多いそうで すが、当然のことながらこれで逆にトラブルが起きることもあるでしょうか ら怖い。概してシステムというのはハードにしろソフトにしろ起動/終了に 関してトラブルが起きやすいものです。通常ハードもソフトもノンストップ 運転に対しては耐性があります。

ハードディスクなどは私は2〜3年程度の寿命の消耗品と思っていますが、 永遠に使えるものと誤解している人もしばしばいるようです。ハードディス クは普通に回っているものが、停止→起動しようとすると、二度と回ってく れないということはよくあります。(私もこの仕事を始めてから会社のマシ ン、自分のマシン、客先のマシンあわせて17年の間に6回くらいこれを経験 しています)

たいていは何度も再起動を試みるうちに、回ってくれることがありますので その時に即データをコピーして、もうそのディスクは使わないようにした方 がよいのですが、不幸なことにほんとに2度と回ってくれなくて、膨大な 伝票類を泣く泣く再入力することになったクライアントもありました。

あるクライアントの場合は取引先から夕方電子配信されてきたデータが大量 にあるため、そのディスクを何とか再生する以外に手がないと思われました。

しかも翌日の朝10時までにはマシンを立ち上げないと何十店もあるチェーン 店の営業ができず、とんでもないことになるというので、東京のメーカーの 専門部門に連絡を取りつつ、ギリギリで間に合ったその日の最終の飛行機に 一人がディスクを抱えて乗り込んで文字通り飛んでいき、夜中の内にメーカ ーでディスクの板自体を取り出し正常なディスクのものに密封し直し中身を 新しいディスクにコピーしてもらい、翌日朝一番の飛行機でまた抱えて飛び 帰ってくる、などということをしたことがあります。

この時は万一ディスクの板自体が壊れていてどうにもならなかった時のため に動員できるだけの人数を動員し、夜通しそこのマスターをリストから重要 度の高いものを優先して入力できるだけ入力するという作業も同時進行で 進めました。幸いデータの吸い上げが成功して無事だったのですが、充分な チェックができたとは思えない手入力分でシステムを起動するはめになって いたら、それに伴う副次的なトラブルが怖かったところでした。

無事起動できてホッとしていた時に、動員して無理に来てもらったオペレー タの一人がひとこと「えー?、こんなに頑張って入力したのに、このデータ、 使わないんですかぁ!?」

ごめんねぇ。。。。。

今年の1月1日直前にシステムを止める企業の中には、そういう目に遭う所も 確率的に何社か出そうな気がします。

こういう「二度と立ちあがってくれなかった」場合にそなえて、膨大な量の マスター類を紙に印刷している企業も多いようです。そのため現在、用紙と プリンタのトナーがものすごいペースで売れているそうです。


(1999.12.17)


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