エプソンがPC98の互換機を発売するという話が出始めたころから、PC98の 発売元である日本電気はそれをさかんに牽制し、発売前に日本電気の権利 を侵害していないかチェックさせるよう要求します。
そこで1987年3月9日、エプソンはその日発売を予定していたPC98互換機の 発売をいったん保留。そのマシンを日本電気に持ち込んで判定を仰ぎました。
日本電気の出した結論は「クロ」。これで互換機発売はなくなったと皆が 思ったのですが。。。。
実はエプソンは2通りの互換機を同時に開発していました。日本電気に持 ち込んだものはその「怪しい方」で、もうひとつ「完全にクリーン」な方 が残っていました。そしてそれを13日、エプソンは発売に踏み切ります。
ここにIBM-PCと同様、日本国内にPC981互換機市場が成立しました。
このエプソンの「互換機」はPC98のアーキテクチュアをそのまま組み込む
やり方をとっておらず、ソフトのレベルで対応する方式をとっています。
そのため機械自体の構造に関する著作権は侵害のしようがないのでした。
インテルの互換CPU AMDのKシリーズがまるっきり違う中身でインテルを
シミュレーションしているのと事情は似ています。
エプソンはその後1995年にWindows95が発売されると、サッとIBM-PC/AT 互換機へ転換。PC98をいつまでも引きずって遅れを取った日本電気と同じ 道はたどりませんでした。