これらは他の目的で開発されたシステムが障害者のために転用されたもの ですが、その逆のものもあります。
それは電子メールです。
電子メールの父、インターネットの父、と言われるのはMCI(現World Com) の副社長もつとめた、Vinton G. Cerf (ヴィントン・サーフ)ですが、彼 は子供の頃から難聴に苦しみ、特に雑踏の中や電話などでは、同様に耳に 障害を持つ夫人とのコミュニケーションでもかなりの不便を感じていたと いいます。
そこで彼が電話に代わるコミュニケーションの手段として強力に推進して いったのが、電子メールであるといわれます。
彼は1988年にそれまで軍事技術であるとしてインターネットの商用利用を
禁止していたアメリカ政府から初めて電子メールの使用許可を取りました。
インターネットの基礎技術であるTCP/IPの開発者の一人である故に政府も
折れたのでしょうが、これを機会にインターネットの商業的な利用が一気
に広まることになります。
彼は1997年頃の日本の雑誌のインタビューで、2005年頃にはひょっとする と、電子メールが電話に代わる標準の通信手段になっているかも知れない と言っています。しかし現状の日本などを見ると、そうなるのはもっと 早いかも知れません。
Vinton G.Cerf 1943年生。スタンフォード大学卒。大学院に在学したま ま、ARPANETの開発に参加。この時期に友人のボブ・カーンと複数の ネットワークを接続するための技術に関する構想をまとめ、これが 現在のインターネットの基礎となった。そして更に数人の共同研究者と ともにその構想を実現するためのプロトコル TCP/IP を開発。1974年 UCLAから博士号取得。彼は交渉能力にも優れており、そこを買われて 1982年MCIの副社長に迎えられ、あちこちのネットワークの相互接続に 尽力した。インターネット時代をもたらした最大の功労者の一人。