■エルサレム入場
イエスの一行がエルサレムに近づくと、イエスは二人の弟子に、近くの村に 行って、子ロバを連れてくるよう言う。そして誰かが何か言ったら「主が ご入用なのです」と言うように言った。
ロバが連れて来られ、弟子たちはロバの背に自分たちの上着を掛けてイエス を乗せた。エルサレムに近づくと大勢の民衆がやってきて、自分の服や、葉 の付いた木の枝を道に敷き詰めた。(*1)
■神殿から商人を追い出す
イエスはエルサレムに入ると神殿に行った。しかしそこでは大勢の商人たち が商いをしていた。イエスは怒り、商人たちの台をひっくり返して追い出し てしまった。「ここは祈りの家である。」
神殿のイエスのところへ病人などがやってきて、イエスは彼らを癒やした。
一方イエスに反発する人々は、イエスを何とかして殺そうと考え、その算段 を始めた。
■イエスを追求しようとする
ある者たちはイエスの所に来て問いつめた。「あなたは何の権威でこんなこ とをしているのか」
するとイエスは「その答えを言う前に尋ねよう。ヨハネの洗礼はどこからの ものなのかと。天からのものか?人からのものか」
これに「天から」と答えれば「では何故ヨハネを信じなかったのか」と言わ れそうである。「人から」と答えればヨハネを信じていた大勢の民衆の反発 が怖い。彼らは答えることができなかった。
またある者はイエスにこう尋ねた。「皇帝に税金を納めることは律法にかな っているのか」これでイエスが「かなっている」と答えればユダヤの本来の 律法に違反する。イエスが「かなっていない」と答えれば今度は政治的な 違法行為としてイエスを摘発できる。
しかしイエスは「ではまず税金として納めるお金を見せなさい」と言う。一人 が銀貨を取り出すとイエスは確かめて言った。「この肖像は誰のものか?」
「皇帝のものです」
「では、皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」
彼らは絶句した。
■終末について語る
イエスはエルサレムについて「お前たちの家は見捨てられて荒れ果てるだろ う」と言い、ある時は神殿を出てから振り返ってみて「この神殿のどの石も 崩れ去らずに他の石の上に残ることはない」と予言した。
イエスがオリーブ山で座っていた時、幾人かの弟子が尋ねた。
「最後の審判はいつ起きるのでしょうか?」
「人に惑わされないよう気をつけなさい。私の名をかたる者が多数現れて、 メシアを自称します。戦争や飢饉や地震があっても慌てないように。まだ 終末は来ない。
多くの人々がつまづき憎しみあい、ニセ預言者が多数現れるだろう。不法 がはびこり、多くの人の愛が冷える。しかし最後まで堪え忍ぶものは救わ れるのです。誰かが『見よメシアが荒野にいる』といっても信用してはいけ ない。
イチジクの木は枝が柔らかくなり葉が伸びてくると夏が近づいたことが分か る。終末が近づいて来た時には、太陽が暗くなり、月が光を放たず、星が天 から落ち、天体が揺り動かされる。そして大きなラッパの合図で天使たちが 世界中に遣わされる。こういったことが起きるまでこの世は滅びない。
しかし終末がいつ来るかは事前には分からない。それは神のみが知ることで ある。天使たちも知らない。だから常に「目を覚まして」いなさい。その時 が来ても分からなかったりしないように。」
■イエスの殺害計画とユダの裏切り
イエスは終末について語ったのちこう付け加えた。「2日後は過ぎ越しの祭 である。その後、私は十字架につけられるため引き渡されるであろう」と。
その頃祭司長たちがイエスを殺す計画を立てていた。しかし彼らは「民衆が 騒ぐといけないから祭りの間はやめておこう」と言った。
十二人の弟子の一人ユダが彼らの元に行って言った。「イエスをあなたたち に引き渡せば幾らくれますか?」と。彼らは銀貨30枚を払うと言った。