■アンナとヨアキム
マリアの母はアンナ、父はヨアキムといいました。二人は清い体で神に仕え ることを誓ったので、肉体的な交わりはいっさいありませんでした。しかし、 ある時神の思し召しにより、二人はくちづけをしました。そうすると、それ だけでアンナは妊娠し、マリアが生まれました。
マリアは神に祝福された子供でした。彼女は天使が運んで来る木の実を食べ て育ち、彼女の洋服は彼女が成長するとともに自然に大きくなりました。そ して無垢なままヨセフの元に嫁ぎました。
■受胎告知
マリアがある夜部屋で本を読んでいると、窓の外に立つものがありました。
見るとそれは大天使ガブリエルでした。
ガブリエルはこう告げました。
『おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられる』
とまどうマリアにガブリエルは彼女が神の子を身籠もったことを伝え恐れず に産むように告げたのです。
『黄金伝説』によれば、基本的に妊娠には次の3通りのパターンがあります。
すなわち、男女の肉体的交わりによって妊娠する場合、交わり無しで自然に 単性妊娠する場合、そして神の精霊によって妊娠する場合です。
マリアはこの第三のケースであり、しばしば誤解されているような処女生殖 ではありません。
■マリアとヨセフ
ヨセフはマリアと結婚しようとしたとき、既にマリアが妊娠していることに 気付きました。ヨセフは正しい人でしたのでマリアが他の男と通じたと誤解 し、マリアとの婚約を解消しようとしました。
しかし天使がヨセフの夢枕に立って告げました。『ダビデの子ヨセフよ、恐 れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアは神の子を宿しているのです。この 子は男の子です。イエス(神は救い)と名付けなさい』
そこでヨセフはマリアを妻として迎え入れ、男の子が生まれるまで彼女と交 わることはしませんでした。