■亡国と再建
ダビデ王の後は異母弟のソロモンが次いで、引き続きイスラエルに繁栄を もたらした。ソロモン王とシバの女王のロマンスの話も有名である。しか しソロモンは余りに国家のお金を使いすぎたため、彼が死ぬと内乱が起き て、そこにエジプト・アッシリアなどの外敵の脅威にもおびえることにな った。結局イスラエルは再び北イスラエルと南ユダに分裂してしまった。
この時代が実はユダヤ教の成立の時期である。国の危機に対して宗教指導 者たちは古の信仰をしっかりと保って国を復興しようと唱えたが、結果的 にそれがユダヤ教の数々の教理を整備していくことになった。この時代は 多数の預言者が出た時代であるが、その預言者たちの警告にも関わらず政 治家たちは腐敗から抜け出せずに国は滅亡への道を走っていく。
BC722年北イスラエル滅亡。BC587年南ユダ滅亡。北イスラエルの人々の末 裔は通称「失われた十支族」と言われて、その行方が分かっていない。南 ユダの人々はバビロニアに連れて行かれて「バビロン捕囚」時代を迎える。
バビロン捕囚はヘブライの人々に、国がなくても宗教によってひとつにま とまることといつか祖国へ帰ろうという思いを植え付けた。そして50年後 バビロニアがペルシャに滅ぼされて人々がイスラエルに戻った時、彼らは ペルシャの保護下とはいえ、真のユダヤ社会の形成を行った。この時代を 第二神殿時代という。