クリスマスケーキ

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クリスマスケーキの歴史

現在日本ではクリスマスというとクリスマスケーキが欠かせないアイテムとなっていて、その商戦も凄まじいものがあります。しかしここまで定着したのはだいたい1970年代以降でしょう。

欧米にもクリスマスの時期にケーキを作る習慣はありますが、日本のクリスマスケーキは独自の形式ですし、また「クリスマスイブ」にそれを食べるというのも日本独自の習慣でしょう。

イギリスには昔この時期にミンスパイ(mince pie)といって小さなフルーツを焼き込んだパイを食べる習慣があったようですが、清教徒革命の時にクロムウェルがクリスマス自体を祝うことと同時に禁止してしまいました。このミンスパイ禁止法は現在でも有効な法律ではありますが、実際にはほぼ無視されているようです。ただ昔のミンスパイはもっと大きいものであったのが、この時代に役人に見つかりにくいようにと小型化されたとも言われています。なお、「ミンス(mince)」は日本語では「ミンチ」あるいは「メンチ」と発音され、実際には挽肉の意味なので、昔はミンスパイには本当に挽肉が入っていたようですが、少なくとも現在のミンスパイには挽肉は入らないようです。

一方フランスではいわゆる「ブッシュドノエル」(bûche de noël, 木の幹を横にした形のケーキ, 英語ではYule Log)を作る習慣があったようです。これがドイツだと、楕円形を横にしたドライフルーツのケーキ「シュトレン」(Stollen)、イタリアだとドーム型の「パネトーネ」(panettone)になります。パネトーネがロシアなどの東欧に行くとクリーチ(Кулич)になりますが、ロシアではこのケーキはクリスマスにも焼きますが、どちらかというと復活祭のケーキというイメージが強いようです。

フランス(特にアルザス地方)、またオーストリアでは「クグロフ(kouglof)」という円筒の真ん中が空いている、ドーナツの背を高くしたようなお菓子を焼く所もあります。

日本でクリスマスケーキを最初に作ったのは不二家ではないかと思われます。不二家のサイト(不祥事のためこの付近のページも閉鎖中−アーカイブで見ることが出来る)によれば、同社の創業の年・明治43年(1910年)に、プラムケーキにフォンダン(fondant,砂糖のシロップで作った衣。あのパリパリしたやつ)のコーティングを施し、銀玉を付けたシンプルなクリスマスケーキを制作したとのこ。現在でも見ることのできる不二家サイトの社史のページでは大正11年(1922年)にショートケーキの販売を始めており、この頃からクリスマスケーキもフルーツケーキではなくスポンジケーキの系統に切り替わっていったようです。

クリスマスが大々的に日本で祝われるようになったのがだいたい昭和40年代頃ですが、クリスマスケーキもその頃からクリスマスの家庭の食卓に少しずつ見られるようになっていきます。しかしまだ当時は少ししゃれた習慣という感じがあり、本当に一般的になっていくのは昭和50年代以降でしょう。

そのクリスマスケーキの形式も、最初はスポンジにバタークリームのものが主流だったのが、チョコレートクリームを使用したもの、生クリームを使用したもの、また全体をアイスクリームで作ったものなどが生まれて、現在に至ります。

25日のクリスマスケーキ

だいたい1990年代半ば頃まで、クリスマスケーキは24日に食べるものということで25日になると、残ったケーキを安売りする店が多くありました。このため、逆に25日に安くなったクリスマスケーキを買うという人もいました。この時期、25歳以上の独身女性のことを「クリスマスケーキ」と呼ぶのが一種の流行語になりました。つまり、結婚適齢期を過ぎて、焦りだし、少し相手の男性の希望レベルを下げても早く結婚したい、という意味です。

しかしその後クリスマスケーキは25日以降も値引きしない店が主流となりましたし、また女性の結婚適齢期に対する考え方も変わり、27〜28歳くらいで結婚する人が増えた結果、このたとえはすっかり死語となりました。

生なら冷凍できまい

クリスマスシーズンにはケーキがたくさん売れますが、特に売れるのはやはり12月24日やその少し前の休日などです。こういう日にはケーキ屋さん、洋菓子屋さん、パン屋さんなどのケーキ生産能力が販売量に遠く及びません。そこでこういう日に売るケーキの中には、かなりの率で予め作っておいて冷凍しておいたものが含まれることになります。

私などはそれで別に構わないと思うのですが(^^;作りたてのケーキが食べたい!という場合のひとつの手が「生クリーム」を使用したケーキを選択するという技です。冷凍しておくことのできるケーキは、バタークリーム、チョコクリーム、アイスクリーム・ケーキなどですが、生クリームは冷凍が利かないので、生クリームを使用したケーキは、少なくともクリーム部分については売る日あるいはその前日程度に塗られたものということになります。

もっとも土台のスポンジ部分は、予め作って冷凍しておいたものかも知れません。

ノルマとアイスクリームケーキ

クリスマスシーズンになると、ケーキを売っているお店や会社の多くで「ケーキのノルマ」があって、1人最低20個とか30個の予約を取って来い、などという指示がでる所はよくあります。しかし誰もが指定された数を売れるものではありません。あちこち頼み込んでも消化しきれず、結局自分で何個か買う羽目に・・・・という人も多いようです。

そういう人の中で特に独身の人とかは買ったケーキをひとりで食べないといけなくなるので悲惨。お正月すぎて1月半ばまで延々とケーキを食べ続けた、などという声も聞いたことがありますが、この場合のひとつの防衛手段が、アイスクリームケーキを1〜2個買っておくというもの。

アイスクリームケーキなら、自宅の冷凍室(足りなければ実家などの冷凍室まで借りる)で、長期間保管できるので、年内くらいはバタークリームのケーキを食べ続け、そのあと年明けたあたりから今度はアイスクリームのクリスマスケーキを少しずつ食べ始めるのだそうです。

ここまでやると、本人はケーキ大嫌いになってしまいそうですが(^^;

敢えて小さいケーキ

クリスマスにケーキを買ってくるのに大きなデコレーションケーキを買ってきて、切り分けて食べるのも楽しいですが、逆に小さなプチケーキをたくさん買ってきて色々な味を堪能するのもまた楽しいものです。ケーキ屋さんでもプチケーキが8〜10個くらい入って1000円とか2000円くらいのセットが売ってあるので、ああいうのを1人3〜4個計算で必要分買ってくると、パーティーなどするのにも良いでしょう。

手作りクリスマスケーキ

クリスマスケーキは買ってくるのもいいですが、手作りするのもまた楽しいものです。スチームオーブンを持っていればスポンジから作るのもよいですが、スポンジ台だけ買ってくるのも手軽に楽しめてよいもの。これに生クリーム(植物性のものを使うと安価でヘルシー)を掛け、サインチョコで字や絵を描き、フルーツを並べて、アラザンをちりばめて、最後にチョコプレートやツリー・サンタなどの飾りを置けば、リーズナブルな費用で、けっこう豪華なクリスマスケーキになります。

子供のいる家庭では子供に生クリームを塗ったりフルーツを並べたりするのをさせると、その過程を楽しんでくれるでしょう。また安全な食に気を遣っている人も、手作りならひとつひとつの素材の出自が明確なだけに安心です。国産のフルーツ缶詰は、生協や農協などに行くと比較的入手容易です。


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