チョコレートの歴史

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チョコレートとココア
 
バレンタインの主役ともいうべきチョコレートですが、これとココアは兄弟のような関係にあります。どちらもカカオ豆から作られる訳ですが、どのようにそれが違うかは以下のチョコレートの歴史を見て頂くと分かる仕組みになっています。

なお、カカオ豆といい、ココア豆ともいうのですが、基本的に採れたばかりの豆はカカオ豆と呼んで、これを乾燥させたり、焙煎したり、発酵させたりして加工を加えたものはココア豆と呼んでいます。また、このココア豆をすりつぶしたものをココアマスといい、その中に含まれる油脂分をココアバターといいます。

古代メキシコのチョコレート
 
古代メキシコではカカオ豆のことをカカオトルと呼んでいました。これは苦い汁という意味で、これがヨーロッパに伝えられた時、いつのまにかトルが取れてカカオになってしまったのだそうです。古代メキシコではカカオ豆はケツァルコアトルが授けてくれたものとされており、BC2000年ころから栽培されていたとも言われます。

ここでアステカ流の呼び名では、樹の名前がカカバクアルイトル、実の果肉部がカカバセントリ、種がカカオトルで、そのカカオトルそれでつくった飲み物をショコラトルといっていっていました。これが「チョコレート」の語源ですが、実際チョコレートというのはほんの100年ちょっと前までは飲み物だったのです。

    ショコラトルの作り方・飲み方
  • カカオ豆を土器に入れて焙煎し、石板の上に置いて石の丸棒で砕き、どろどろになるまですりつぶす。
  • これをモリネットとよばれる撹拌棒で激しくかきまぜ水に溶かしビールのように泡だった飲み物として飲む。
  • 唐辛子を入れて飲む場合もあった。

このショコラトルというのはココア豆をすりつぶしただけの飲み物ですので、名前の通り、非常に苦い飲み物でした。これが1521年にアステカを滅亡させたコルテスによってスペインに持ち込まれた時、スペイン人たちはこれに砂糖を入れることを考えました。以来チョコレートに砂糖は必需品となったのです。

チョコレート渡来
 
スペイン王室はこのチョコレートの販売で非常に大きな利益を得ましたので、このチョコレートの製法を門外不出にしていました。そのためカカオ豆をつんだ船をおそった海賊がその価値が分からず「羊の糞め」といって捨てていたという話もあります。

しかし、これも長くは続かず、1606年にイタリア人カルレッティがチョコレートの製法をイタリアに伝えました。更に1615年スペインの王女アンナがフランスのルイ13世に嫁いでフランスにチョコレートを飲む習慣を伝えたのを契機にチョコレートはフランスの貴族たちにファッショナブルなドリンクとして広まります。この新しいドリンクはすぐにヨーロッパ中に広がって、イギリスなどではあちこちにチョコレートハウスがオープン。国はチョコレートに税金をかけます。この頃、チョコレートに毒を入れて殺すというチョコレート殺人事件までイギリスでは起きています。

19世紀にチョコレートの製造会社が続々誕生しました。この中にはヴァン・ホーテンのように現在まで続いている会社もあります。この頃からチョコレートの4大発明といわれるものが次々と生まれました。

4大発明(1)ココアパウダー
 
最初の発明はそのヴァン・ホーテンによる「ココアパウダー」の発明です。

それまでのチョコレートはココア豆の55%がココアバターなのでお湯にとかしてもなかなか均一になりませんでした。そこでヴァンホーテンはココア豆をしぼって、ココアバターを半分ほど取り除き、脂肪分を20-30%程度にしたココアマスの粉を作ることに成功します。この粉は今までのココアマスを直接溶かすのに比べて、非常に簡単にお湯に溶けてくれました。

また彼はココア豆の有機酸をアルカリで中和することも考案しました。これは現在ではダッチプロセスと呼ばれており、ココアの製法の基礎になっています。ココア豆に炭酸ナトリウムを加えて中和したのち焙煎するもので、酸臭のないココアが作れます。

4大発明(2)イーティングチョコレート
 
さてこの時点までのチョコレートというのはあくまで「飲むもの」でした。ところがここで大革命が起きます。ヴァンホーテンの製法ではココアバターが余ってしまうのですが、イギリスでこの残ったココアバターを固めて食べるということを考えた人がいました。これは「イーティングチョコレート」と呼ばれ、お湯に溶かさずにそのまま食べられる簡便性と長期保存が効くということで、人気が出ました。

つまりチョコレートはココアを作った残りのリサイクル利用で作られたものだったわけです。

4大発明(3)ミルクチョコレート
 
しかし、この「イーティングチョコレート」にはミルクが入っていませんでしたから、けっこう苦みのある味でした。牛乳を混ぜようという試みもあったのですが、牛乳は水分が多く、ココアバターは油脂ですから、なかなか混ざらなかったのです。当時はまだ粉ミルクもありませんでした。

ところが、1875年、スイスのダニエル・ペーターは、その困難と思われていたミルク・チョコレートの製造に成功します。水力を利用した機械で2昼夜撹拌を続けて、きれいに混ぜ合わせてしまいました。2昼夜混ぜる内には牛乳の水分もかなり蒸発し、ミルクが入っているにも関わらず保存性のよい、そしてマイルドな味のチョコレートが誕生しました。

4大発明(4)コンチ
 
4大発明の最後は、一般の人にはちょっとなじみのないものですが「コンチ」です。これは1880年にスイスのルドルフ・リンツが発明したものですが、要するに砂糖の粒子を細かくする機械で、これを使って作ったチョコレートは舌にざらつきのない、なめらかな感触のチョコレートとなりました。


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