桃太郎のシンボリズム

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桃太郎は鬼を倒すために、非常に強力な象徴を率いて攻めていきました。

まず桃太郎自身が「桃」から生まれていますが、桃は中国古代より悪霊邪気を祓う聖なる植物とされていました。

そして、連れているお供が犬・猿・雉ですが、これは十二支でいうと、申・酉・戌と対応しており、これは方位に直すと、ちょうど西の方位をカバーしています。西は五行では金に相当し、金気はいわば剣であり、鬼を倒すのに力強い存在なのです。

桃太郎といえばキビダンゴ、キビダンゴといえば岡山。

ということで、桃太郎の本拠地としては岡山という説が有力です。そして桃太郎のモデルは吉備津彦(きびつひこ)ではないか、という説もまた有力です。

吉備津彦は吉備津彦神社・吉備津神社の御祭神ともされている古代の英雄で、この地方を荒らしていた温羅(うら)という山賊(?)を倒したと言われています。その温羅の首が埋まっている所の上に、岡山市吉備津神社の「鳴釜神事」に使われる釜が置いてあります。

つまり、吉備津彦が桃太郎のモデルとすると、桃太郎伝説の「鬼」というのが温羅であるということになります。

温羅の首は討ち取られてからも怪異をなしていましたが、そこに釜を置き、温羅の妻・阿曾姫に食事を供えさせるようにしたら怪異をやめ、釜の鳴り方で吉凶を告げてやろう、と吉備津彦に告げ、それが1500年ほど、ずっと守られてきています。

温羅は吉備津彦に「幸いある時は釜を豊かに鳴らし、災いある時は釜を荒々しく鳴らす」と告げたそうです。

この釜のことは「吉備津の釜」の話でも有名ですね。

なお、温羅はこの地方では「丑寅御前(うしとらみさき)」という名前でも各地に祭られており、梁塵秘抄は「丑寅御前は恐ろしや」と伝えています。荒々しい神のようです。

しかし吉備津神社の本来の御祭神が温羅なのではないかという説を唱える人もあります。この神社は東北(つまり鬼門)を向いている、珍しい神社なのです。

なお、キビダンゴですが、これは「黍」と「吉備」の掛け言葉になっています。もともとこの吉備津神社の境内で売られていたものが全国に広まったとも言われています。(江戸発祥説もある)

基本的には、黍を練って作ったものと、普通に米粉で作って最後に黍の粉を振りかけるタイプとがあります。


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