春の土用(どよう)は二十四節気に準じる雑節のひとつで、現在行われている「定気」法では、太陽の視黄経が27度になった時を言います。毎年だいたい4月17日頃に来ます。
土用とは「土を用いる」ということで、五行思想に基づく考えです。五行とは、木火土金水をいい、1年の季節で、春が木、夏が火、秋が金、冬が水に相当します。すると土が余ってしまうので、季節の移り変わりの部分を各季節から約18.25日ずつ奪い取って、無理矢理、土に当てたものです。ですから土用の時期は18.25×4=73日間あることになります。土用に取られたため、春(木)夏(火)秋(金)冬(水)は各々、365÷4−18.25=73日ということで丸くおさまります。
春夏秋冬は、それぞれ立春・立夏・立秋・立冬から始まるので、土用はその各々の前の約18.25日(現代では定気法によるので、実際には黄経が各々より18度前の日時から始まるものとします。立春・立夏・立秋・立冬が太陽の黄経315度, 45度, 135度, 225度の時なので、土用の開始は太陽の黄経が297度, 27度, 117度, 207度の時ということになります。
そういう訳で土用というのは年に4回あるのですが、一般に土用というと夏の土用が有名です。
夏の土用や冬の土用がどちらかというと、夏の暑さ・冬の寒さがますます厳しくなる時期であるのに対して、春の土用は、春の気に変化が見られる時期です。本当に「春らしい」時期というのは、関東から北部九州くらいの「北緯35度線」付近では、だいたい3月下旬の春分から4月中旬くらいまでで、それを過ぎると初夏的な雰囲気になってきます(立夏は5月5日頃)。
野山の緑が生き生きとし、ゴールデンウィークはちょうど行楽日和で屋外で過ごしやすい地域も多いです。東北ではそろそろ根雪も融けかけて、短い春が到来しようとし、それもまた開放的な気分になりやすいです。
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七十二候 | 初春 東風解凍 黄鶯見完 魚上氷 土脈潤起 霞始靆 草木萠動 仲春 蟄虫啓戸 桃始笑 菜虫化蝶 雀始巣 桜始開 雷乃発声 晩春 玄鳥至 鴻雁北 虹始見 葭始生 霜止出苗 牡丹華 初夏 蛙始鳴 蚯蚓出 竹笋生 蚕起食桑 紅花栄 麦秋至 仲夏 螳螂生 腐草為蛍 梅子黄 乃東枯 菖蒲華 半夏生 晩夏 温風至 蓮始開 鷹乃学習 桐始結花 土潤溽暑 大雨時行 初秋 涼風至 寒蝉鳴 蒙霧升降 綿柎開 天地始粛 禾乃登 仲秋 草露白 鶺鴒鳴 玄鳥去 雷乃収声 蟄虫坏戸 水始涸 晩秋 鴻雁来 菊花開 蟋蟀在戸 霜始降 霎時施 楓蔦黄 初冬 山茶始開 地始凍 金盞香 虹蔵不見 朔風払葉 橘始黄 仲冬 閉塞成冬 熊蟄穴 鮭魚群 乃東生 麋角解 雪下出麦 晩冬 芹乃栄 水泉動 雉始鳴 款冬華 水沢腹堅 鶏始乳 |