毎年10月の7日から9日まで、長崎市で「おくんち」がおこなわれます。(諏訪神社自体の例祭は8日)1998年は大雨のため8〜10日に順延されましたが、1999年は大丈夫でした。
「おくんち」とは「御九日」がなまったもので、本来は「9月9日」重陽の節句の意味です。この行事は西日本各地にあり、元々はほんとうに9月9日におこなわれていたものと思われますが、明治の新暦移行以後、新暦の9月9日ではあまりにも早すぎるため、各地それぞれそのくらいの時期に移行したようです。九州各地でおこなわれますが、長崎や唐津(11月2日)のものは特に有名です。
長崎の「おくんち」は諏訪神社のお祭りとしておこなわれ、中華街のある町らしく蛇踊りや、京都由来の「こっこでしょ」などがおこなわれます。始まったのは寛永11年(1634)。円山の芸者衆が舞を奉納したのが最初と言われます。その後、長崎市内の旧77町が7年に1度回ってくる当番の年に各町内で出し物を仕立てて、諏訪神社に奉納する形式に発展しました。
長崎諏訪神社は江戸時代初期にキリスト教の普及で荒廃していた市内の諏訪神社・森崎神社・住吉神社の3つを佐賀出身の修験者・青木賢清が合祀して1625年に円山に設立したものです。その後幕府の寄進を受けて現在地に移転、社地も広がり、その後多くの長崎の人々の信心を集めるようになり、やがて長崎総鎮守の神社として崇敬されるようになりました。
江戸末期に一度火災で社殿が焼失しましたが明治のはじめに島原藩主により再建。原爆の爆心からは山影にあたるため戦争の被害も少なく、樹齢数百年の大楠を背に美しい社殿が建っています。ただし拝殿は1984年に造営されたものです。