放生会とは、生物の命の大切さを見つめ直し、殺生を控えようという趣旨の仏教系の行事で、一般には捕らえていた鯉や鳥などを逃がす儀式を行います。ただ元々この行事を行ってきたのは八幡系の神社で、日本最古の放生会の記録は養老4年(720)の宇佐八幡宮です。その後鶴岡八幡・石清水八幡など各地の八幡神社に広がったのですが、明治の神仏分離以降は、やはり神社で仏事を行うのは変だということから廃止したところも多いようです。
基本的には旧暦8月15日に行われていた行事ですが、現在では中暦で9月15日に行うところが多いようです。
筥崎宮(福岡市)は宇佐神宮(大分県)・石清水八幡(京都)と並ぶ日本三大八幡のひとつで、天平宝宇3年(759)の創建。社殿に掛かる「敵国降伏」というぶっそうな文字は、蒙古襲来の時に亀山上皇が書いたもの(を拡大したもの)です。正月3日の勇壮な玉取り(たませせり)は有名です。
放生会の期間中、筥崎宮は長い参道を出店が埋め尽くし、見せ物小屋などもいくつか建ちます(まだ廃業していなければ....)。また祭の初日に神社で頒布される限定1500個のチャンポンは人気が高く、毎年朝から長い列が出来ます。私も一度朝からこの列に並んで入手したことがあります。(2個買って2個とも人にあげたので手元には残っていない^^;;)
このチャンポンは長崎ではビードロと呼んでいるものですが、筥崎宮式製法は大正年間に伝承者がいなくなって消滅していたのを、九州大学の研究者が古い記録を調べて復元し、1971年からまた新たにお目見えしたものです。口を付けて吹くとチャンポンチャンポンと鳴る、ということからこの名前があります。(人によってはポコペンと聞こえるかも知れません)