毎年8月8〜10日には京都で「六道参り」が行われます。
六道参りとは、東山区にある六道珍皇寺にお参りすることです。これは盆の精霊迎えの行事であり、人々は迎え鐘と呼ばれる鐘を突き、門前で槇の枝と早稲を買い求めて持ち帰ります。お寺でもこの期間だけ秘仏の六観音を公開します。
六道とは仏教の世界観で、われわれの世界に近い所にある6つの世界です。地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道で、この六つの世界に生まれ死んだものは又いづれかの世界に生まれて輪廻していくとされます。六観音はこの六つの世界のそれぞれにある者を導く存在です。
珍皇寺は平安時代の葬送地・鳥辺山の入口の所に建っています。そのためここはあの世に通じる場所であるとされ、お盆に帰ってくるご先祖様もここを通ってくるとされたのです。
この珍皇寺には小野篁の伝説も残っています。小野篁は生身の人間でありながら地獄の裁判官も務めているという伝説がありましたが、その篁が地獄に出勤していく時、ここ珍皇寺の裏庭にある井戸を通って行ったといわれています。その井戸のそばには高野槇があり、篁は井戸に入る時にこの槇の枝につかまったとのことです。