毎年4月29日から5月5日まで、佐賀県の有田では毎年恒例の陶器市が行われます。
有田焼というと東京あたりでは高級品として名が通っていますが、九州ではごく普通の日常品です。陶器市では100円とか200円とかの茶碗・湯呑み・コーヒーカップなどが入手できます。安い物は運搬費を掛けて東京に運んでも仕方ないので、東京へ運ばれるのは高級品のみになります。
有田・三河内・波佐見・伊万里といったこの付近一体を最近佐賀県は「セラミックロード」と呼んで観光開発に力を入れています。
この付近の陶磁器の歴史は、豊臣秀吉の朝鮮侵略戦争の際に、日本軍が朝鮮の陶工を多数日本に連れ帰った所から始まります。その中で、1616年に、李参平が有田の泉山で白磁鉱を発見。これを材料にして磁器を焼いたのが有田焼の始まりとされます。
その後1640年頃に酒井田柿右衛門が色絵の磁器の制作に成功。鍋島藩の保護政策によって有田焼は大きく成長していくことになります。その技法は完全に秘伝とされ、わずかに瀬戸に流出したほかは、域外不出が守られました。また伊万里港がこの陶磁器の積出港とされ、海外には「imari」の名前が知れ渡って、ヨーロッパの王侯貴族の部屋を、美しい古伊万里の磁器が飾ることになります。
現在でも有田では職人芸的高級品を制作する三右衛門(柿右衛門・今右衛門・源右衛門)、量産高級品メーカーの深川製磁・香蘭社などを筆頭として、多くの窯・メーカーが陶磁器を生産しており、普段でもその窯や販売店などで入手できますが、陶器市の時は沿道は他の地区から来た生産者まで入って、たいへんな賑わいになります。掘り出し物もありますので、リュックを背負って出かけるのも楽しいものです。期間中はJRの臨時列車も運行されます。