普段は生者が来るのを拒む地獄の番人も三途の川の渡しもオルペウスが竪琴を弾くとそのメロディーにうっとりして、彼が通ることを許してしまいます。
そして黄泉の国の王ハデスと妃ペルセポネの前に出たオルペウスは竪琴を弾いて、エウリュディケの若さ・無垢・美しさを歌い、彼女が暴漢から逃げている途中毒蛇に噛まれてしまったこと、結婚してわずか1年で最愛の妻を失った若者のことを歌いました。
その歌にペルセポネが涙を流しているのを見たハデスはしぶしぶ条件付きでオルペウスに妻を連れかえることを許します。その条件とは地上に戻るまで、オルペウスがエウリュディケの前を歩き、その間後ろを振り向いてもいけないし声も掛けてはいけないというものでした。
喜んだオルペウスは帰路につきますが、後ろにエウリュディケが居ると思っても、約束ですから振り向けないし声も掛けられません。しかし最初聞こえていた足音がいつの間にか聞こえなくなると、どうしても不安が押えきれなくなって、つい後ろを振り向いてしまいます。そこにはエウリディケの姿がありましたが、彼が見た途端彼女の姿はだんだん輪郭がぼやけていき、やがて消え去ってしまいました。