鉄の記念日

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安政4年(1857)、南部藩の釜石市に日本で最初の洋式高炉が造られ、12月1日に初めて火が入れられました。鉄の記念日はこれを記念して1957年に制定されたものです。(薩摩藩の方が早いという説もあるようだが資料が未整理のようです)

釜石の高炉を造ったのは大島高任。日本の近代製鉄の父と呼ばれています。この時の高炉の跡は今も同市橋野町に残されています。大島の高炉は1880年まで22年間運用されました。

ここでまず製鉄の流れというものを簡単に押さえておきましょう。

鉄は鉄鉱石や砂鉄などから作ります。特殊な例として隕鉄から作る場合もあります。これは超高級品です。

鉄はみなさんもよくご存じのように、大変さびやすいものです。さびるというのはつまり酸化するということ。つまり自然界の鉄はほとんどが酸化鉄の状態で存在しています。

製鉄の工程ではこの酸化鉄を熱して熔かすことにより還元し、金属の状態に戻します。日本の古代の製鉄法ではこの過程は「たたら」によって行っていました。現在でも、刀剣用など高級品は「たたら」により製造されています。

たたらは良質の鋼(はがね,steel)を作れるのですが、量産が効かない欠点があります。そこで産業革命以降の大量の鉄を必要とした時代において、多少品質に問題があっても、大量に鋼を作る方法が考案されました。

この近代製鋼の工程では最初に鉄鉱石を燃料のコークスや酸度調整のための石灰などといっしょに「高炉」に入れて加熱します。ここで大島高任はコークスではなく木炭を使っています。こちらが良質の鋼を生産できるのですが経費と生産効率の問題があります。

高炉により還元された鉄は、コークスの炭素を吸収して、炭素濃度の多い鉄になっています。これを「銑鉄」(cast iron)といいます。このままではもろくて使えませんので、今度はそれを熔けたまま転炉に入れて空気を送り込み、炭素を燃やしてしまって炭素濃度を下げます。

基本的には炭素濃度が1.7%(2.1%という説も)〜0.02%のものを鋼(steel)といい、0.02%以下まで落とすと練鉄(mild steel)といいます。転炉を使う方法の利点は、空気を送り込む時間の調整でこの炭素濃度を目的に合わせて正確に調整できることです。

そして実際の製鋼産業では、転炉で鋼が出来たあと、これに焼き入れ・焼き戻し・焼き鈍しといったおなじみの処理を加え、引き出し・押し出しなどの方法で、鋼板・棒材・H型鋼などを製造します。

  焼き入れ:高温に熱してから急冷。鉄を固くする焼き戻し:低温で熱してからゆっくり冷やす。粘り強くする。焼き鈍し:高温で熱してからゆっくり冷やす。柔らかさを加える。押し出し:断面の形の細い口から押し出して成型。引き出し:断面の形の細い口から引き出して成型。

押し出し・引き出しは要するに、マヨネーズの口の星形みたいに形のある所に熱い鋼を押しつけたり引き出したりして、その形にするものです。

基本的には鉄というのは純鉄の状態では使いにくいので、必ず何かの不純物を混ぜます。つまり私たちの身の回りにある鉄は全て「鉄合金」であるといってもよいでしょう。最近特に多いステンレスはクロムとニッケルを混ぜて表面に皮膜を作り錆びにくくしています。ステンレスはその錆びにくいという性質から用途が多いのですが、固いため加工しにくい問題点があります。

「鉄」というのは戦後当用漢字制度のために使われるようになった俗字で、本字は「鐵」です。この字は「金の王なる哉」という意味であるとされます。つまり種々の金属の王様が鐵だというわけです。「国鉄」なども「国鐵」だったら安泰だったかも知れないが「金を失う」では黒字になる訳がなかった、などという俗説もあります。


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