明治12年(1879)12月20日、青森県下北半島北東端の尻屋崎燈台に日本で初め ての霧笛(むてき,Foghorn)が設置されました。
下北半島は「まさかり」の形をしていますが、まさかりの刃の側の上端が 大間、下端が脇ノ沢、そして柄の側の上端が尻屋になります。私は一度だけ 訪れたことがありますが、高台に草原が広がって牛がのんびりと草をはんで おり、強い風が吹いていました。しかし風が弱まれば霧が出ます。 北海道の納沙布岬などと同様に船にとっては昔から難所とされた場所で、 あまりにも難破する船が多いことから「名難崎」とも呼ばれていました。 ここの灯台は明治9年に東北地方で最初の灯台として建設されましたもので す。(納沙布岬灯台がこの少し前の明治5年。なお納沙布岬灯台も尻屋崎 灯台もイギリスのHenry Brunton(1841-1901)が設計したものです) 霧笛は霧が出やすく灯台の明かりが見えにくくなる灯台に設置が広まった もので、現在霧笛を出す灯台が20弱残っているようです。ただ最近は電波 による位置の確認技術が進んでいるため霧信号所を廃止する所が多くなっ ており、この尻屋崎灯台の霧笛も1994年に廃止されてしまいました。
(2003-12-19)