レンコンの日(11.17)

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11月17日は「レンコン(蓮根)の日」です。これは1994年11月17日に、レンコンの一大産地である茨城県の、土浦市に全国の蓮根産地の代表が集まって、「蓮根サミット」を開いた時、サミットを記念してこの日を「蓮根の日」とすることが制定されたものです。

さて最初に少し言葉を整理しておきましょう。

まずいつも問題になるのが「ハス」と「レンコン」です。

両者はとても似た植物ですが、花が水面に咲くものがスイレン、花が水面から数cm〜数十cmほど浮かんだ場所に咲くのがハスです。葉もスイレンの場合は浮葉のみですが、ハスは浮葉と立葉(水面より上に出る葉)があります。学名はハスがNelumbo、スイレンがNymphaea。英語ではどちらもLotus(ロータス)です。スイレンは「水蓮」と書くこともありますが、現代では「睡蓮」と書くのが標準とされます。以前は両者は種族的にも近いものと思われていましたがDNAの分析の結果、かなり離れた種であったことが明らかになっています。

ハスやスイレンの花は「レンゲ(蓮華)」と呼ばれます。中華料理で使用するレンゲは、蓮華の花弁と形が似ているとして、その名前があります。日本語の「ハス」という名前は、花の中央にある花托に多数の穴が開いていて、蜂の巣を連想させるとして、ハチス→ハスと変化したものと言われています。

さて、レンコン(蓮根)は「ハス」の地下茎です。これに穴が開いているのは呼吸をするのに空気を取り込むためで、花托の穴からずっとつながっています。蓮根は節で区切られていますが、この節の所から茎が伸びて水面に葉や花を出します。なお、スイレンは地下茎を形成しません。

ハスの実(種)は「蓮の実(はすのみ)」と呼ばれて砂糖漬けなどにして食べますし「甘納豆」にも小豆(あずき)や空豆(そらまめ)などと共に使用されています。漢方薬の材料(蓮肉という)にもなります。また仏教の数珠の材料にも使用されます。これは蓮は花が咲いた時にはもう既に実が出来ているので「生死即涅槃」の象徴であるとされるためです。

蓮の実の表面はとても硬いので、とても長い間発芽能力を維持することができて、大賀一郎が1951年3月に千葉県の検見川遺跡の泥炭層から発見し、発芽に成功させたものは2000年前のものでした。これは「縄文蓮」と呼ばれて、当時大きな話題となり小学生向けの科学の本などでも良く取り上げられていました。最近では発見者の名を取って「大賀蓮」とも呼ばれています。東京都世田谷区の大宮八幡宮や大分県臼杵市の蓮園などでこの蓮を見ることができます。↓は参考サイト

http://blog.goo.ne.jp/benzo_k/e/67f218e384fd89063cff96c9e93a0a07 http://www.ajkj.jp/ajkj/oita/usuki/kanko/usuki_hasu/usuki_hasu.html

蓮といえば、仏教文化圏ではお釈迦様との関連が深く、蓮華の上でお釈迦様が瞑想している絵などは良くあります。お釈迦様が生まれた時に、蓮の花が受け止めてくれた、などという伝説もあるようです。蓮の花の色には様々ありますが、仏教では、白蓮華をプンダリーカ、青蓮華をウトパラ、紅蓮華をパトマといいます。仏典に出てくる蓮は大半が紅蓮華(パトマ)だそうです。もともとエジプトなどにも蓮を王権の象徴とする考え方などがあったようですので、お釈迦様と蓮の関係も、そういう古代思想とのつながりがあるのでしょう。

さて話をレンコンに戻して、レンコンの食べ方としては、天ぷらにするのもおいしいですし、煮物にするのも良いです。ガメ煮(筑前煮)には必須の素材となっています。またすり下ろして片栗粉等と混ぜ、そのままあるいは鶏挽肉や魚のすり身などとまぜて団子にし鍋物の材料にしたり、油で揚げて食べるのもふわっとした食感が最高です。また熊本名物の「カラシ蓮根」は蓮根の穴にカラシをつめ、卵などを入れた衣を付けて揚げたものです。

カラシ蓮根は昔は結構な値段がしたので、話には聞いてもなかなか食べる機会がなかったのですが、1984年に食中毒事件が起きて死者まで出た時価格が暴落したので「今年はチャンス」と思って食べてみました。基本的には珍味の類という気もします。(日本酒などに合う気がしました)1984年の食中毒の場合は「真空パック」に対する過信があったようです。事件を起こしたボツリヌス菌は真空中でも増殖できるので、製造工程のどこかに甘い所があると、残存した菌が繁殖してしまいます。作りたての芥子蓮根では、このような事故は起きないと考えられます。


(2005-11-17)

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