1977年11月30日に小西六写真工業(現コニカミノルタ)が、世界初のオートフォーカス(AF)カメラ「コニカC35AF」を発売したのを記念するものです。コニカは「ジャスピン(ジャストピント)コニカ」の愛称でこのカメラを大きく宣伝し、それまでカメラを扱うのに尻込みをしていた女性層にこのシステムは受け入れられました。
コニカはこれに先立つ1963年4月には世界初の自動露出(AE)カメラ「コニカAutoS」を世に送り出しています。
AutoSが出現する以前のカメラでは、撮影するのに、フレームで対象を捉えて、シャッター速度、絞り、そして焦点という3つの要素を合わせて撮影しなければならなかったので、そういう専門知識のない人には訳の分からないものでした。しかしAEカメラが出たことで、とにかくピントさえ合わせれば、絞りとシャッター速度はカメラが自分で調整してくれるということになり、カメラは専門家でなくても誰でも扱えるものとなりました。
アメリカではこういう素人でも扱えるカメラというのを「休日に気軽に持ち出して使えるカメラ」というので Vacation Camera と呼ぶようになり、このことばがそのまま日本語に輸入されてローマ字読みされ「バカチョン・カメラ」ということばがうまれます。だいたいそんな動きがあったのが1960年代後半でしょうか。
ところがこのことばは後に「馬鹿でもチョンでも扱えるカメラ」という意味だと誤解されてしまい、差別語だと騒ぐ人たちが出てきて、マスコミが使用を控えるようになり、結果的には、文章に書くのは禁句のような扱われかたをしています。が、日常会話ではみんなあまり深く意味を考えないまま使われ続けているようです。
しかし1960年代に流行したこの Vacation Camera のおかげで、画面が暗すぎる写真・明るすぎる写真は追放されたものの、ピンボケの写真は大量に生み出されていました。そこに登場したのが、1977年のこの自動焦点カメラで、AEとAFを搭載することで、人々はただフレームを合わせてシャッターを押すだけでまともな写真が撮れるようになったのでした。
現在販売されているカメラはある程度以上の価格のものは自動焦点方式、安いもの(レンズ付きフィルムなど)はもうひとつのピントがずれない方式「固定焦点(Panfocus)方式」で作られています(絞りを絞り込んで焦点の合う範囲を広げたもの。ISO400程度の高感度フィルムで使うと近くの人物から遠くの背景まで全てに焦点が合ってしまう。但しきちんと焦点合わせしたものほどクリアな画像ではない)。