入れ歯の日(10.8)

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10月8日は語呂合わせで「入れ歯の日」です。

野生の動物は歯を失ってしまうと物が食べられなくなり死ぬしかありませんが、人間は食べ物を工夫して歯が無くても食べられる食物の調理法を開発するとともに、入れ歯を発明して、不足するまたは完全に失った歯を補うことを考えました。入れ歯の歴史は5000年近くあるとも言われています。

さて現代の歯科治療では、虫歯や歯槽膿漏などで傷ついたり失われた歯を補修したり補ったりするために、下記のような技術を使用しています。

(1)インレー 軽度の虫歯などに適用するもので、削れて穴があいてしまった部分に金属(金銀パラジウムの合金)を詰めます。

(2)クラウン 冠です。進行が大きくてインレーだけでは安定しない場合に、保護のために上から金属の冠をかぶせます。前歯の場合は違和感が無いようにレジン(プラスチック)製の白い冠をかぶせたりします。

(3)ブリッジ 歯が1本無くなってしまった場合に、前後の歯に連結させて人工の歯を設置するものです。前後の歯にはクラウンを掛ける形になります。補われた歯は歯茎に対して浮いています。

(4)差し歯  歯根だけになってしまった歯に芯を埋め込んで、そこに人工の歯を接着するものです。一体感があり使いやすいですし、入れ歯と違って簡単に外れたりはしません。

(5)インプラント 最近できるようになったもので、歯根も失われている場合に、歯茎に人口の歯根を埋め込んで、そこに差し歯するものです。今まで入れ歯しかないと思っていた人たちをたくさん救っています。

(6)入れ歯 歯茎が弱くてインプラントが困難な場合は現在でも入れ歯をすることになります。1本や数本単位で作る部分入れ歯と、全ての歯が失われている場合におこなう総入れ歯とがあります。

入れ歯の場合、その歯を固定する床を何で作るかという問題があります。現存する日本最古(これが世界最古でもあるらしい)の入れ歯は室町時代のものですが、木製の床を使用しています。一方西洋では象牙、陶器などを床に使用していましたが、1856年にゴム床の精密な製法が開発され、入れ歯はそれ以前と比べて遙かに快適な装着感のあるものとなりました。日本にもこのゴム製の床は1874年に紹介され、急速に普及します。この材料はやがてゴムからアクリル、レジンと変化してきており、現在の主流はそういうプラスチック製の床です。

なお人工の歯そのものの素材は古代には象牙や牛の骨などが使われており、後に陶器なども出てきて、現在では金属やセラミックなどが主流になっています。メタルボンドといって金属にセラミックコーティングしたものやハイブリッドといってブラスチックとセラミックを混合した素材もあります。

なお床の方ですが、プラスチック製の床は炎症を起こしにくく軽くて良い面もあるのですが、口腔内の形と完全に一致させるのが困難であるため、微妙な違和感と戦う必要があります。これに対して1980年頃からチタンなどの金属を使用した床が一部で使われ始め普及し始めています。金属の場合可塑性があるので口腔に完全に馴染ませることができて、入れ歯安定剤を使う必要がありません。更には熱伝導率が良いので熱さ・冷たさが伝わり、食事がより快適になります。但しこの金属床については、まだ保険外診療となっています。

しかし基本は「歯は大事な臓器」。やはりこういうものにお世話にならないように、日々のメンテをしっかりやるようにしたいものです。


(2004-10-07)

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