太陽熱発電の日(8.6)

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8月6日は太陽熱発電の日です。1981年のこの日、「サンシャイン計画」の実験施設である、香川県仁尾町の太陽熱発電所で世界初の太陽熱による1000KWの発電に成功しました。この日はこれを記念したものです。

太陽エネルギーの利用に関する研究は、1955年の国際太陽エネルギー会議が出発点です。太陽はまだ50億年ほどは輝き続ける恒星であり、常識的に考えて人類という種が消え去るのよりもずっと先まで地球にエネルギーをそそぎ続けるものと思われます。事実上無尽蔵のエネルギー源であり、将来性の高いエネルギーという訳ですが。。。。当時はこんなものを研究するより石油が安く手に入り、それを燃やせばいいではないかということで、あまり盛り上がらず、実際に研究に従事する学者も少数でした。

それが再び注目されたのは1973年のオイルショック以降です。ようやく人々は石油というものが有限の資源であり、しかも中東諸国の意志と事情によって自由に価格が制御されてしまうものであることを認識しました。そこでスタートしたのがサンシャイン計画やムーンライト計画でした。

これらの一連のプロジェクトで研究されたものは多数あります。再び注目された石炭、その石炭の液化、地熱発電、電磁流体(MHD)発電、天然ガスやメタノールを使った燃料電池、外燃機関、そして太陽光発電と太陽熱発電。

仁尾町の太陽熱発電所もこの計画にもとづいて作られたものです。この発電所はこの時確かに世界で最初に太陽熱発電に成功した訳ですが、この発電所にはとんでもない欠陥がありました。それはこの場所は日照量が少なすぎて実用になる程度の大規模な発電ができなかったのです。このためこの発電所での実験は1985年中止になってしまいました。最大出力は2000KW。これでは一般家庭600軒分程度の電力にしかなりません。日本のお役所仕事の典型がここにあるようにも思われます。アメリカのカリフォルニアに建設された太陽熱発電所は30万KW。小規模の都市の電力を完全にカバーできるだけのパワーを持ち、発電コストも石油と肩を並べています。

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基本的に太陽のエネルギーを直接利用する方法は太陽光方式と太陽熱方式があります。

太陽光発電では太陽の光を光電効果によって電流として取り出します。最も実用化されているのはアモルファスを使用した太陽電池で、現在多くの家庭用電卓に使用されています。太陽熱は日本では発電より太陽熱温水器として利用されています。現在日本全体での太陽熱温水器による電力節約だけでも合計で大規模な原発1基分に相当しています。太陽熱発電の場合は太陽の光を太陽の方向に合わせて回転する鏡で集め高温を作り出してそれにより蒸気を作りタービンを回します。太陽光発電が静的な発電であるのに対して太陽熱発電は従来の発電所の構造の延長上にある動的な発電です。

太陽光発電と太陽熱発電では太陽熱発電の方が今のところエネルギー変換効率が良いようです。しかしこの両者は同じ問題を抱えています。それは実用的なエネルギーを生み出すためにはかなり広い土地を確保しなければならないということです。

その解決法としてひとつ提案されているのは、全国の家庭やビルの屋上に太陽光電池を設置するという方法です。これだともし全ての家屋に太陽光電池を取り付けることができれば現在の日本の消費電力の全て!!を供給することが可能だとされています。もっともそのためにかかる総費用は原子力発電所100基分くらいかかるはずです。

またひとつの方法は宇宙空間に太陽光発電所を作り、それを電波で地上に送電することです。しかしこれは桁外れに膨大な費用が掛かるのが明白で、とても実用的とは思われません。

もうひとつの方法は鉄道や高速道路など、そもそも広い面積を取っているものに沿って太陽光パネルを設置することです。私はこれが一番実用に近いのではないかと思います。鉄道会社や道路公団は余った電力を売却することによって副収入を得ることができます。

こういった太陽光発電に対して、今日のテーマである太陽熱発電の方は、どうしてもまとまって広い面積が必要ですから、国土の狭い日本では実用化は難しいように思われます。

一方の家庭の太陽光パネルの方ですが、これを設置すると現在政府から補助が出るようになっています。そして余った電気は電力会社に売ることができます(夏の暑い時にクーラーをジャンジャン掛けているような時以外はたいてい余るそうです)。そして、これが一番大きいのですが、このパネルを設置した家庭では、自分の家で作った電気が「可愛いく」思えて、こまめに電気を消して回る習慣がついてしまうところが多いといわれています。


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