8月9日は形状記憶合金の日となっています。由来等は分かりませんでした。
形状記憶合金は一定の温度帯で行った変形が、それより高い温度にした時に元に戻ってしまう性質を持つ金属です。ニチノールと呼ばれるニッケルとチタンの合金が有名です。
この合金は「形状回復温度」より高い温度ではオーステナイト相という立体的に結合した結晶構造を取りますが、それより低温ではマルテンサイト相という平面的結合をした結晶構造になり、この構造の状態では自由に変形することができます。しかし加熱して形状回復温度以上になるとオーステナイト相に戻るため、元の形が回復されてしまいます。
この技術は1951年に発見(金とカドミウムの合金)され、1961年にはアメリカで特許が取られています。しかし日本で利用されるようになったのは1980年代以降です。なぜ近年まで使われなかったかというと、ひとえに使い方を思いつかなかったというところでしょう。
現代では機械や工場などの変形しては困るような場所や温度感知センサーなど産業用途から、ブラジャーのワイヤーなどの日常用途までいろいろなものに使われています。
ブラジャーのワイヤーの場合は洗濯の時にワイヤーが少し変形しても、体に身につければ体温によって元の形に戻るという仕組みになっています。なお、近年では似た素材としてポリノルボルネンやポリイソプレンなどの形状記憶高分子などといったものも出てきています。