8月4日は語呂合わせで「橋の日」です。
橋というものが、いつ頃から作り始められたのかは分かりません。おそらく最初は嵐などで倒れた木が偶然川のこちらと向こうを結び便利だという認識があり、やがて人の手で木をわたした「丸木橋」が作られたのでしょう。
川の途中に「飛び石」を並べたものも、原始的な橋の一種と考えられます。「因幡の白兎」が鰐をずらっと並べて、その上を歩いて渡った、というのはあるいは古い橋の記憶が伝説化したものなのかもしれません。
石や木を「組んで」作る橋も文明の発達とともに造られるようになってきます。また大きな川に橋を架ける時、途中に「橋脚」を置くという技術も生まれました。
ローマのミルヴィオ橋(Ponte Milvio)はもともとBC206年に造られたものをBC109年に M. Aemilius Scaurus という人が石造りの橋として架け直したと記録されています。この橋はその後何度も改修されてはいますが、基本的な構造は2000年間変わっていないとされています。
橋に関する技術でその後特筆すべきものは、産業革命以降に造られるようになった鉄製の橋です。
急な川の多い国、日本では深い谷や幅の広い川にどうやって橋を架けるかが工夫され、その中で生まれた見事な技法が「刎橋」で、大月の猿橋などはその例です。
日本でもヨーロッパでも、橋を架けるというのは聖職者の仕事でした。ローマ教皇は Pontifex maximus と呼ばれますが、 pontは「橋」fexは「造る」で、このことばは「最高の橋架け人」という意味です。日本でも弘法大師や行基が橋を架けた話は各地に残っています。日本の場合、僧侶が中国からさまざまな技術を学んできた中に架橋技術もあったということ。また衆生救済の意義もありますし、勧進して人を動員するのに聖職者という立場はやりやすかったこともあるのでしょう。
●橋に関する用語
橋脚 長い橋を架ける際の中継点。岸から橋脚まで橋を架け、そこからまた先へと橋を延ばす。錦帯橋は橋脚を4つ建てた五連橋。
橋台 橋の両端に造った橋を支えるもの。
橋桁 橋台・橋脚などの間にわたした、地面と水平になるもの。橋板 橋桁の上に並べた板。ふつうはこの上を歩いて渡ることになる。
●橋の構造
桁橋 橋脚の間にまっすぐの桁を渡して造った橋。比較的小さな橋に使用される。
トラス橋 △▽△▽△ のような形に鋼材を三角形の連続に組み合わせて造った橋。
アーチ橋 弓形の曲線構造で橋を支えるもの。上路式と下路式がある。上路アーチ橋 アーチの上に通行路があるもの。下路アーチ橋 通行路の上にアーチがあるもの。長崎の「眼鏡橋」は石造りの上路アーチ橋です。アーチ橋の細かい種類にローゼ橋、ランガー橋、などがある。
ラーメン橋 橋桁・橋脚など複数の橋材を互いにずれたり回転しないようしっかりと結合して組み立てた橋のこと。耐震性などに優れるといわれている。
吊り橋 何本かの「主塔」の間に張ったロープで橋を支えるもの。実際には、いわゆる懸垂線状になったロープから垂直にハンガーと呼ばれるロープを伸ばし、これが橋桁を支える。長い距離に橋を架けるのに役立つ。
斜長橋 主塔から斜めに直線的に張ったロープで直接橋桁を支えるもの。
●橋の素材
石橋 石を組み合わせて造った橋。古くから使用されてきたが石は圧縮力には強くても引張力には無力なので、引っ張る力が働くような構造には使用できない。基本的にはアーチ橋になる。
木橋 日本ではよく造られてきた。現在では宗教的なものや観光用以外ではまず新規に造られることはない。
コンクリート橋 コンクリートも石橋と同様に、引っ張る力に弱いので、それを補強する部材を使用する。RC橋 鉄筋コンクリートを使用したものPC橋 ピアノ線や炭素繊維などで補強したもの
鋼橋 鉄鋼で造られた橋。現代のある程度大きな橋は鋼橋かPC橋が多い。