3月14日は円周率の近似値3.14にちなんで「円周率の日」です。
円周率というのは円の円周と直径の長さの比のことです。これがどんな円でも一定の値になることは古代よりしられており、その大きさがほぼ3くらいであることも、かなり古くから知られていました。BC4000〜2000頃のエジプトやメソポタミアでは円周率の値を3.12〜3.16程度として測量などの計算した例があるそうです。
天才数学者アルキメデス(BC287-212)は今日でも学生の練習問題などで出される多角形近似法を使用して、円周率の値を3+10/71〜3+10/70と計算しました。 3+10/71 = 3.140845 3+10/70 = 3.142857ですから、かなり正確な所まで突き止めています(π=3.14159265...)
円周率の正確な値を求める努力はそれ以降ずっとこの多角形法が使用されていたのですが、これではどうしても限界がありました。ずっと年代が新しくなって近代解析学の祖ニュートン(1642-1727)がπの値を級数展開して求める方法を考案し、彼自身それで小数点以下16桁まで求めています。この方法での計算で一番凄かったのがW.Shanks(1812-1882)で彼はほぼ一生をかけて小数点以下707桁まで計算しました。しかし後に機械式の計算機が発明されてから1947年にFergusonという人が(数年がかりで)検算してみたところ528桁目以下が誤っていたことが分かりました。Fergusonは結局808桁目まで計算していますが、これ以降、円周率の計算はもう電子計算機の時代になりました。
1949年にReitwiesnerらが、世界で2番目に作られたコンピュータ ENIAC を使用して2037桁までの値を求めました。1958年にはGenuysという人がIBMの第二世代の科学計算用コンピュータIBM704を使って1万桁まで計算。これ以降は電子計算機を利用して円周率を求めるというより、電子計算機の性能を確認し計算技術を高めるために円周率を求めるという感じで、主客逆転の世界になっていきます。かくして円周率の値は1961年に10万桁, 1973年に100万桁, 1983年に1000万桁,1987年に1億桁, 1989年に10億桁, 1997年に100億桁, 1999年に1000億桁,2002年にとうとう1兆桁まで計算されるに至っています。この1兆桁まで計算したのは東大の金田康正・高橋大介らのチームで日立のスーパーコンピュータSR8000MPを使用しています。
取りあえず以下は円周率の値200桁までです。
π=3.1415 9265 3589 7932 3846 2643 3832 7950 2884 1971 6939 9375 1058 2097 4944 5923 0781 6406 2862 0899 8628 0348 2534 2117 0679 8214 8086 5132 8230 6647 0938 4460 9550 5822 3172 5359 4081 2848 1117 4502 8410 2701 9385 2110 5559 6446 2294 8954 9303 8196
私も7〜8年前に円周率の記事をホームページに書いた時、当時Pentium75MHzのパソコンで1000桁まで計算させてその時約1秒かかったのですが、今回今ならどのくらいかなと思ってやってみた所、PentiumM-1.3GHzのパソコンで1万桁までを約2.5秒で計算しました。1000桁はキーを押した瞬間「できました」の表示になってしまうので計測不能でした。半分の5000桁なら0.7秒程度です。なおロジックは「計算できればいい」という程度の初歩的な級数展開のロジックです。