2月10日は語呂合わせで「ふとんの日」です。全日本寝具寝装品協会が制定しました。
原始時代には人々は風を避けられるような場所で丸くなって寝ていたと考えられます。火を扱えるようになると、火を燃やしたまわりを取り囲むようにみんなで寝ていました。風を少しでも避けるために小さな穴を掘り、その中で寝るような習慣もあったようです。
ベッドは夏は虫の害を防止し、冬は寒さを緩和するものとして恐らく新石器時代頃から普及したのではないかと思われます。通常木製ですが、王族では象牙や青銅製のものを使っていた例もあります(実用的には木製のほうが暖かくて柔らかくて良いと思うが、見栄でしょう)
西洋ではそれが順調に発達したのですが、日本では弥生時代の後期に床をあげた形式の住居が出現し、そういう住居に住む人はベッドをやめて床に寝るようになりました。いわば家全体がベッドのようなものですね。このため日本ではベッドは次第に消えていくことになります。
しかしベッドにしろ床にしろ、そのままでは硬い感触がきついため下に何かのクッションを敷くケースが出てきます。王侯貴族などには羽毛を敷くようなケースもあったようですが、普通の人はござの類がせいぜいでした。その頃はまだ掛け布団というのは存在しません。みな冬などはけっこうな厚着をして寝ていたようです。
日本では平安時代頃になると、着ていた服を1枚からだの上に掛けて寝る流儀が流行り出します。当時は通い婚の時代。男女が添い寝する場合二人の衣服を一緒に体の上に掛け、抱き合っていた訳で、これはかなり暖かいはずです。そして早朝気温が下がっているときに男が帰り支度を始めると、男の体と男の服の両方が同時に無くなるので、女は物理的に完璧に寒く、自然に「殿、もう少し」ということになっていた訳です。
現在のような綿を入れた布団が出現したのはだいたい江戸時代の初期頃のようです。やはり世の中が安定し経済活動が活発になって初めて生まれたものなのでしょう。しかし完全に庶民まで普及したのは幕末近くともいわれます。
畳というのも元々は寝具として発達したものです。つまりマットレスであったわけで、最初は寝る場所だけに置いていたのですが、後に部屋全体に敷き詰める贅沢な使い方が普及しました。
現在のようなポリウレタンを使用したマットレスが登場したのは昭和25年頃。西洋の家屋と違って、元々柔らかい畳が敷かれている所に更にマットレスを敷くというのは、考えてみると日本人は世界的にも最高に贅沢な寝方をしているのかも知れません。
羽毛の掛け布団が普及しはじめたのは1970年頃から。初期の段階ではかなり高価なものでしたが、1980年代半ば頃になると、かなり手頃な値段のものが販売されるようになり、急速に利用者が増えます。羽毛掛け布団のいい所は夏はほどほどに涼しく冬は暖かくと一年中使えることと、何と言っても軽いこと。しかし逆に軽い布団は不安で寝にくいという人もあり、重たい木綿の掛け布団のファンも多数います。睡眠は微妙です。
現在、ホテルに泊まるとたいていが掛け寝具は毛布だけなので、あれが不安でたまらない人は、かなりいるのではないかと思われます。