1月22日はジャズの日です。これはJAZZのJAがJanuaryに通じZZが22に見えるということから東京都内のジャズクラブのオーナーたちにより提唱されました。
ジャズのルーツは19世紀末のブルースとラグタイムと言われています。ここで「ブルース(Blues)」とは「ブルーな気分に浸る音楽」という意味で独特のコード進行を持っていました。一方のラグタイム(ragtime)は初期の段階では巷で流行っている作者不明の音楽を多数の演奏家たちが採譜して演奏するようになったものでしたが「ラグタイム」と呼ばれる音楽ジャンルの特徴としてはシンコペーションによる情緒表現が挙げられていました。特に1899年にScottJoplin(1867?-1917)がMaple Leaf Ragを発表すると、彼の傾向がラグタイムの主流と考えられるようになります。現代ではジョプリンはラグタイムの完成者とされています。
これらの音楽が1910年代にミシシッピ川河口の港町ニューオリンズ(ルイジアナ州)で出会い、ジャズが生まれたものと考えられています。ここはフランス系とスペイン系が混じり合った独特のクレオール(Creole)文化があった場所で黒人音楽に対する受容力も大きかったのではないかとも言われます。ここで生まれた初期のジャズをディキシーランドジャズ(Dixieland Jazz)といいますが、Dixielandとはアメリカ南部のことです。もっとも初期のディキシーランドジャズの演奏者の大半は黒人の人たちです。
これが1920年代には北米方面にまで広がり、白人演奏家も増えてきて1930年代にスイングジャズ(Swing Jazz)の時代が来ます。「スイング」とは八分音符を三連符風に変形して演奏するもので強い躍動感を持っています。この時代に登場してきたのが、グレン・ミラー(Glenn Mirror)、ベニー・グッドマン(Benny Goodman)、デューク・エリントン(Duke Ellington)、カウント・ベイシー(Count Basie)ら「ビッグバンド」のリーダーたちです。現在でもこの時代のジャズのみが純粋なジャズであると考えるファンも多数います。
ここでビッグバンド(Big Band)とはジャズ演奏用の大編成の楽団のことで、日本でも「高橋達也と東京ユニオン」「原信夫とシャープス&フラッツ」、「宮間利之とニューハード」「岡本章生とゲイスターズ」などといったビッグバンドが昭和20年代から昭和50年代頃まで盛んに活動をしていました。
ジャズが非常に大きなファンを獲得したのは1950年代で、この時代のジャズをモダンジャズ(Modern Jazz)といいます。特徴としては技巧の高い演奏や自由なコード進行などが挙げられます。この時代の演奏者としてマイルス・デイビス(Miles Davis)や初期段階では彼と組んでいたジョン・コルトレーン(John Coltrane)、またやはりデイビスと組んでいたビル・エバンス(Bill Evans)などがいます。
これが更に1970年代頃にはロックと相互乗り入れ(クロスオーバーCross Over)したフュージョン(Fusion)を生み出します。フュージョンは基本的にはジャズですが演奏技法にはロックの要素もかなり取り入れており、古いビッグバンドのファンなどにはかなり違和感のあるものでもありました。フュージョンの演奏家としてはハービー・ハンコック(Herbie Hancock), チック・コリア(Chick Corea), またWayne ShorterとJoe Zawinul率いるウェザー・リポート(Weather Report)などがあります。
日本ではフュージョンの演奏家としては、スクエア(Square,のちTスクエア,T-Square,安藤まさひろ,伊東たけしなど)とカシオペア(Casiopea,野呂一生など)の二大バンドがある他、渡辺香津美などもいます。特にスクエアは1983年に和泉宏隆が加入したのちポピュラー路線に転じたため、ジャズやフュージョンという枠を越えて、広い層のファンを獲得しました。
しかしこういったフュージョンの傾向に対してやはり揺り戻しも来て、現在では1950年代頃までの「ジャズのコード進行や演奏スタイル」に回帰する傾向のメインストリートジャズ(Mainstreet Jazz)も生まれてきており、ある意味ではこの復興運動によりジャズは安定したジャンルとして確立したともいえるでしょう。