神無月特集(11) 日本神話はどこに書いてあるか

↑
→

日本神話を取り上げる場合、特に神道系の人が重視するのは古事記です。今 までも、実は古事記上巻のメインストーリーに沿っておいかけて来たのです が、元々いろいろなエピソードで構成されていた神話に、このような一連の ストーリーを付けた人物が、当時いたことになります。

古事記の序によれば天武天皇の時代に稗田阿礼(ひえだのあれ)というものが おり、天皇の命により、古い文献を解読、その結果を元明天皇の時代に太安 万侶(おおのやすまろ)が整理してまとめたとされています。稗田阿礼につ いてはその名前がこの序文以外に全く出てこないから古来謎の人物とされ、 男性か女性かについても意見が分かれていましたが、近年、梅原猛氏が提出 した、稗田阿礼=藤原不比等の説は、色々辻褄の合う所があり、ひじょうに 興味深いものです。

日本神話を収録したものとして、古事記と並ぶ存在が日本書紀です。こちら は、以前にも述べた、7〜8世紀の重要家系のひとつ安倍家の血を引く舎人 親王がまとめたものです。元正天皇の時代に完成しました。古事記がひとつ のことについてひとつの説のみを採用して、ストーリーを重視しているのに 対して、日本書紀では、当時存在した、いろいろな説を集約し『一書にいわ く。。。』という形で記載されているのがたいへん貴重です。このおかげで、 当時既に存在した異説を読むことができます。

日本書紀と同時代にまとめられたもうひとつの文献は風土記です。これは日 本書紀が中央の官僚によりまとめられたのに対して、各地方でも同様の文献 をまとめるようにとの命令により編纂されたものですが。。。。。各地方の 官僚の編集能力にバラツキがありすぎて、結果的に「全完成」には至ってい ません。現在でもほぼ完全な形で見ることのできるのは、出雲風土記、常陸 国風土記、播磨国風土記、の3つのみ。また豊後国風土記と肥前国風土記に は抄録本が現存しています。

更には江戸時代頃から、あちこちの文献に引用された風土記の文章を集めて みようという研究が盛んに行われ、結果的にかなりの量の文章を集めること に成功しています。これは風土記逸文と呼んでいます。

(自分の文章を後世に残したかったら、どんどん引用してもらうのがよいよ うです)

日本神話に関しては、その後中世に編集された文献にも見られます。中でも 平安初期の「先代旧事本紀」「古語拾遺」などは重要です。鎌倉時代には、 伊勢神道の教典・神道五部書が作成され、室町時代になると各地の神社の縁 起を集めた神道集が成立しています。更には江戸時代後期から明治時代にか けては、いわゆる「偽書」と呼ばれる出所不明の多数の古文献が登場してい ます。上記(うえつふみ)、秀真伝(ほつまつたえ)、東日流外三郡誌(つがる そとさんぐんし)、九鬼(くかみ)文献、竹下文献、宮下文献、物部文献、カタ カムナ文献、などといったものです。これらはほとんどが古代に書かれたと 仮託されていますが実際には江戸時代に編纂されたものと思われます。しか し、それなりに当時のいろいろな伝承を見ることができて、貴重なものです。



(C)copyright ffortune.net 1995-2016 produced by ffortune and Lumi.
お問い合わせはこちらから