昔、衛の国の王様は弥子瑕という美少年を愛していて、いつも同伴していま した。ある時、弥子瑕は森で桃がなっているのを見て取ってかじったところ 非常においしかったので王様に「ねぇ、これとってもおいしいよ」と言って 勧めました。
王様は桃を食べて喜び、部下にも「弥子瑕は本当に可愛い奴だ。自分が全部 食べたいのを我慢して、おいしい桃を分けてくれた」と微笑んでいいました。
しかしやがて弥子瑕も年を取りすっかり男っぽくなってしまい、それにあわ せて王様の寵愛も薄くなってしまいました。すると王様は彼を捕らえさせて 断罪して言いました。
「こいつは昔、自分が食べた桃の食べさしを俺に食わせたんだ」と。
そういうわけで、同じことをしたのに誉められたり叱られたりして評価が定 まらないことを「余桃」といいます。