こよみの読み方(16)月が消えてしまう空間分割法



ここで紹介している二十四節気の区切り方は、太陽の黄経を利用していますので、いわば「空間分割法」(定気という)です。これに対して、純粋に1年の時間の長さを24等分する「時間分割法」(恒気という)もあります。

現在、多くの業者が発行している暦に記載されている「旧暦」は定気を採用した天保暦に準じています。しかし以前にも述べたように天保暦の前に使用されていた寛政暦では恒気を使っていました。

どちらが優秀かというと、暦の研究家の99%は「恒気」が優秀であると言うでしょう。天保暦は何を思ったか、定気という馬鹿な方法を取ったために、季節と月名のずれを大きくしてしまいました。

1998年の場合は前回見たようにしてうまい具合に本来6月中気である大暑が6月に、7月中気である処暑がちゃんと7月に入っていますが、いつもこううまく行くとは限りません。例えば1813年後半にこの暦法を適用したらこうなってしまいます。

新月 中気
1813年 8月26日10h 9月23日20h秋分 8月 [8]
9月24日23h 9月 [9]
10月24日15h 10月24日 4h霜降 10月(霜降は本来は9月中)[10]
11月23日 9h 11月23日 0h小雪 (小雪は本来は10月中)
12月22日13h冬至 11月 [11]
12月23日 4h 1月20日23h大寒 12月 [閏11]
1月21日23h 2月19日14h雨水 1月 [12]
2月20日16h 3月21日14h春分 2月 [1]
3月22日 6h 閏2月 [2]
4月20日17h 4月21日 3h穀雨 3月 [3]
5月20日 1h 5月22日 4h小満 4月 [4]
6月18日 9h 6月22日12h夏至 5月 [5]
この年は中気が飛ぶ月、2つ入っている月が入り乱れています。ただし実際にはこの時は寛政暦の時代でしたので、当時は右側に[]書きした月名が実施されていました。現在の暦と同様の天保暦は1844年から行われています。ただしその元になる日本の標準時は、1887年(明治20)までが京都標準時、1888年以降は明石標準時を使用します。

そして更にです。これはFFORTEのSYSOPの北斗柄さんから教えて頂いたのですが、2033年には、とんでもないことが起きます。月が消えてしまうのです!!

新月 中気
2032年12月 3日 5時54分 12.21 17h冬至 [11]
2033年 1月 1日19時19分 1.20 4h大寒 [12]
2033年 1月31日 7時 2分 2.18 18h雨水 [ 1]
2033年 3月 1日17時25分 3.20 16h春分 [ 2]
2033年 3月31日 2時53分 4.20 3h穀雨 [ 3]
2033年 4月29日11時48分 5.21 2h小満 [ 4]
2033年 5月28日20時39分 6.21 10h夏至 [ 5]
2033年 6月27日 6時 9分 7.22 21h大暑 [ 6]
2033年 7月26日17時14分 8.23 4h処暑 [ 7]
2033年 8月25日 6時41分 [閏7]
2033年 9月23日22時41分 9.23 2h秋分 [ 8]
2033年10月23日16時30分 10.23 11h霜降
2033年11月22日10時40分 11.22 9h小雪>
12.21 23h冬至 [11]
2033年12月22日 3時48分
2034年 1月20日19時 3分 1.20 9h大寒
2.18 24h雨水
2034年 2月19日 8時12分
2034年 3月20日19時16分 3.20 22h春分 [ 2]
2034年 4月19日 4時28分 4.20 9h穀雨 [ 3]
2034年 5月18日12時15分 5.21 8h小満 [ 4]
2034年 6月16日19時28分 6.21 16h夏至 [ 5]
2034年 7月16日 3時18分 7.23 3h大暑 [ 6]
2034年 8月14日12時55分 8.23 10h処暑 [ 7]
2034年 9月13日 1時16分 9.23 8h秋分 [ 8]
ここで、2033年9月23日から始まる月は秋分を含んでいるので8月です。そして、2033年11月22日から始まる月は冬至を含んでいるので11月です。さて、それでは、2033年10月23日から始まる月は何月にすればよいのでしょう??これを9月にすると10月がなくなります。これを10月にすると9月がなくなります。

2033年は更に、上記に見るように、11月と2月の間にも月が3つあるので閏月を発生させなければならないのですが、中気を含まない月が2つあってどちらを閏月にすべきか、明確ではありません。

このような問題は二十四節気を定気(空間分割)で定めるから起きるのであって、恒気(時間分割)にすれば、まず生じないことです。

絶対、二十四節気は恒気に戻すべきだと思います。なお、2033年を恒気で処理すると次のようになり、全然問題がありません。

新月 中気
2032年12月 3日 5時54分 12.21 16:51冬至 [11]
2033年 1月 1日19時19分 1.21 3:19大寒 [12]
2033年 1月31日 7時 2分 2.20 13:48雨水 [ 1]
2033年 3月 1日17時25分 3.23 0:17春分 [ 2]
2033年 3月31日 2時53分 4.22 10:46穀雨 [ 3]
2033年 4月29日11時48分 5.22 21:15小満 [ 4]
2033年 5月28日20時39分 6.22 7:44夏至 [ 5]
2033年 6月27日 6時 9分 7.22 18:12大暑 [ 6]
2033年 7月26日17時14分 8.22 4:41処暑 [ 7]
2033年 8月25日 6時41分 9.21 15:10秋分 [ 8]
2033年 9月23日22時41分 10.22 1:39霜降 [ 9]
2033年10月23日16時30分 11.21 12:08小雪 [10]
2033年11月22日10時40分 12.21 22:37冬至 [11]
2033年12月22日 3時48分 [閏11]
2034年 1月20日19時 3分 1.21 9:05大寒 [12]
2034年 2月19日 8時12分 2.20 19:34雨水 [ 1]
2034年 3月20日19時16分 3.23 6:03春分 [ 2]
2034年 4月19日 4時28分 4.22 16:32穀雨 [ 3]
2034年 5月18日12時15分 5.23 3:01小満 [ 4]
2034年 6月16日19時28分 6.22 13:30夏至 [ 5]
2034年 7月16日 3時18分 7.22 23:59大暑 [ 6]
2034年 8月14日12時55分 8.22 10:28処暑 [ 7]
2034年 9月13日 1時16分 9.21 20:57秋分 [ 8]

(1999.04.29)