こよみの読み方(15)閏月の入り方



さて、ここで太陰太陽暦の閏月について述べます。

太陰太陽暦は月(moon)の実際の満ち欠けに合わせて月(month)を定めますが、月の満ち欠けの周期(朔望月)は29.53日なので、12回繰り返すと354.36日にしかならず、太陽が天空を一周する時間365.2422日に10.88日ほど足りません。

そのため大雑把に言えば3年に1度くらい余分な月「閏月」を入れて調整しないと季節とずれていきます。イスラム暦などは太陽を無視した純粋太陰暦ですので季節とのずれを気にしませんが、中国や日本の暦はこれも何とか合わせて行こうとします。そこで参考にするのが前回扱った節月です。

この節月は正確に太陽暦の時を刻んでいます。しかし節月の方が朔望月よりながいですから、両者はだんだんずれていきます。そしてどこかで「中気をを含まない朔望月」が発生します。

そこでこれを閏月ということにすれば、あまり季節とずれることなく太陰太陽暦を運用することができます。これは非常にいいアイデアです。

ところが、ここで問題が発生します。地球が太陽の回りを回る速度は、軌道が楕円であるために、ケプラーの法則によって太陽に近い所では速く、遠い所では遅くなってしまいます。

そのため節月は長さが季節によって変動してしまいます。結果、太陽の動きの速い冬にはひとつの朔望月の中に「中気」が2回入ってしまうことがあります。結果、中気の入ってない月を全て閏月にしようとすると月が足りなくなってしまいますので、中気が入ってなくても閏月ではなく普通の月にせざるを得ない月が発生します。

現在この規則は次のようになっています。

・冬至を含む月は必ず11月と呼ぶ。
・春分を含む月は必ず2月と呼ぶ。
・夏至を含む月は必ず5月と呼ぶ。
・秋分を含む月は必ず8月と呼ぶ。

要するに、12個の中気のうち、最重要の4ポイントを押さえておき、その他の月は名称が多少季節とずれても目をつぶるということにした訳です。

この規則を使って例えば1998年の月の名称を決めてみましょう。1998年周辺の新月と24節気(中気)は次の通りです。

新月 中気
1997.11.30 11:14 12.22 5h冬至
__ 12.30 01:57 01.20 16h大寒
1998.01.28 15:01 02.19 6h雨水
__ 02.27 02:26 03.21 5h春分
__ 03.28 12:14 04/20 16h穀雨
__ 04.26 20:42 05.21 15h小満
__ 05.26 04:33 06.21 23h夏至
__ 06.24 12:51
__ 07.23 22:44 07.23 10h大暑
__ 08.22 11:03 08.23 17h処暑
__ 09.21 02:01 09.23 15h秋分
__ 10.20 19:09 10.24 0h霜降
__ 11:19 13:27 11.22 22h小雪
__ 12.19 07:43 12.22 11h冬至

ここで間違ってはいけないのは07.23大暑の所属です。朔は確かに07.23 22:44に起きますが、日の区切りはあくまで夜の0時ですから、07.23日に始まる月は07.23 0:00から始まっています。ですから7.23 10hの大暑は6.24から始まった月ではなく7.23から始まった月に属します。

さて、まず規則により、冬至・春分・夏至・秋分の場所から11,2,5,8月が定まります。

新月 中気
1997.11.30 11:14 12.22 5h冬至 11月
__ 12.30 01:57 01.20 16h大寒
1998.01.28 15:01 02.19 6h雨水
__ 02.27 02:26 03.21 5h春分 2月
__ 03.28 12:14 04/20 16h穀雨
__ 04.26 20:42 05.21 15h小満
__ 05.26 04:33 06.21 23h夏至 5月
__ 06.24 12:51
__ 07.23 22:44 07.23 10h大暑
__ 08.22 11:03 08.23 17h処暑
__ 09.21 02:01 09.23 15h秋分 8月
__ 10.20 19:09 10.24 0h霜降
__ 11:19 13:27 11.22 22h小雪
__ 12.19 07:43 12.22 11h冬至 11月

そこであとは間を埋めていくのですが、問題になるのは5月と8月の間です。
月が3つあるのに6月と7月しか名前がありませんので、この配置が問題になります。

新月 中気
1997.11.30 11:14 12.22 5h冬至 11月
__.12.30 01:57 01.20 16h大寒 12月
1998.01.28 15:01 02.19 6h雨水 1月
__.02.27 02:26 03.21 5h春分 2月
__.03.28 12:14 04/20 16h穀雨 3月
__.04.26 20:42 05.21 15h小満 4月
__.05.26 04:33 06.21 23h夏至 5月
__.06.24 12:51
__.07.23 22:44 07.23 10h大暑
__.08.22 11:03 08.23 17h処暑
__.09.21 02:01 09.23 15h秋分 8月
__.10.20 19:09 10.24 0h霜降 9月
__.11:19 13:27 11.22 22h小雪 10月
__.12.19 07:43 12.22 11h冬至 11月

ところがここで中気を含まないのは6.24から始まる月です。ですからこれが閏月になり、5月の後ですから、閏5月になります。すなわち

新月 中気
19971997.11.30 11:14 12.22 5h冬至 11月
__ 12.30 01:57 01.20 16h大寒 12月
19981998.01.28 15:01 02.19 6h雨水 1月
__ 02.27 02:26 03.21 5h春分 2月
__ 03.28 12:14 04/20 16h穀雨 3月
__ 04.26 20:42 05.21 15h小満 4月
__ 05.26 04:33 06.21 23h夏至 5月
__ 06.24 12:51 ______ 閏5月
__ 07.23 22:44 07.23 10h大暑 6月
__ 08.22 11:03 08.23 17h処暑 7月
__ 09.21 02:01 09.23 15h秋分 8月
__ 10.20 19:09 10.24 0h霜降 9月
__ 11:19 13:27 11.22 22h小雪 10月
__ 12.19 07:43 12.22 11h冬至 11月

これで閏月の配当が確定しました。

(1997/03/07)
(1999.04.28)