こよみの読み方(13)五行



このあたりで、一度五行について触れておきます。今までに何度も出てきましたが、五行とは、木・火・土・金・水、をいいます。中国古来の思想で、宇宙の色々な営みを、この5つの類型に当てはめようという考え方があります。たとえば、次のような対応がなされています。
五行
五色
五方西
五時土用
五星歳星 熒惑填星太白辰星
五神青龍 朱雀黄龍白虎玄武

更にこういう対応もありますが、あまり覚える必要はありません。

五臓:木=肝臓 ・火=心臓 ・土=脾臓 ・金=肺 ・水=腎臓
五虫:木=鱗 ・火=羽 ・土=裸 ・金=毛 ・水=貝
五味:木=酸っぱい・火=苦い ・土=甘い ・金=辛い ・水=しょっぱい

少し解説を加えますと、五星の名前は上の順に私たちが普段呼んでいる名称では、木星・火星・土星・金星・水星です。が、こういう呼び方もあります。

五虫で「鱗」は魚、「羽」は鳥や昆虫、「毛」は獣、「裸」は人間です。
五時のところの「土用」については、またいづれ詳しく説明することになるかと思います。

さて、この五行を今「木火土金水」と並べましたが、これは「相生順」といいます。つまり

木生火 木が燃えて火ができる
火生土 火が燃えると灰ができる
土生金 土の中で金属ができる
金生水 金属を空気にさらすと結露する
水生木 水を吸って木が育つ

という訳です。これに対して「相剋順」というのもあります。

木剋土 木は根を張って土を侵食する
土剋水 土が入ると水は汚れる
水剋火 水を掛けると火が消える
火剋金 火で金属が溶ける
金剋木 金属の斧で木を切る

相剋順は、相生順のひとつおきに取ったものになっていることに注意して下さい。しばしば五行を五角形の形に並べますが、その時相剋順の線は五芒星を作ります。逆に言うと、五芒星は五行相剋の象徴です。それからもうひとつ、生成順というのもあります。これは

水→火→木→金→土

ですが、あまり使いません。五行について詳しい話は「五行大義」を読んでください。中村璋八さんの解説本(明徳出版社)が比較的分かりやすいと思います。この本が難解と思われる方は吉野裕子さんの「十二支」(人文書院)や「ダルマの民俗学」(岩波新書)などがよいと思います。ただしこれらの吉野さんの入門書を読んだだけで、五行が分かった気にならないように(^^;この世界には時々、中途半端な理解でいきなり変なこと(^^;を言い出す人がいます(^^;;

中国の五行は宇宙の全ての事象を象徴化するものであって、宇宙の存在そのものの分類です。従って静的な物質の根源を見る例えば原子論のような立場とは違った視点に立っています。

石が空を飛んでいる時、石そのものを静的にとらえると、これは珪素や酸素などでできているということが分かります。しかしその物質的分析だけでは「飛んでいる」という事象を捉えることができません。

人間の細胞の構造を分析するだけでは人間の心や愛情が分からないのと同様ですね。細胞は静的な存在ではなく、活動しているわけですから。

こういう観点では五行は次のような解釈も可能だと思います。

木−生命 火−結合 土−空間 金−物質 水−移動

木生火 生命同士が結合する(性)。また生命が結合を媒介する(受粉)。
火生土 結合によって空間が発生する(量子力学的にも心理学的にも)
土生金 空間の中で物質は生成する。
金生水 物質が動くことが移動である。
水生木 移動の組織的集合体が生命である。

木剋土 生命は空間を占有しようとする
土剋水 空間が移動の限界を与える。(宇宙の果てまでしか行けない)
水剋火 移動しながらの結合は難しい
火剋金 結合によって元の物質は破壊される。
金剋木 物質に当たると生命は痛い。

これをもっともらしいと思うか、こじつけだと思うかはその人次第ですが、多分、これも恐らく五行の「対応のひとつ」なのだろうと思います。恐らく五行というものは、これよりも、もっともっと根元的な概念です。

(1999.04.20)
(2021.12.31 フォーム調整)